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「稼げるハイブリッド車」が握るホンダの未来 脱「低収益の4輪事業」でEV離陸までの橋渡し

東洋経済オンライン / 2024年9月24日 8時0分

ホンダのハイブリッドシステムとして3代目となる「e:HEV」。燃費性能と走行性能を高次元で両立させ人気が高まっている。コスト改善も進んだ結果、エンジン車並みに儲かるようになった(記者撮影)

世界中で電気自動車(EV)に対する期待がはげ落ちる中、相対的に人気が高まっているのがハイブリッド車(HV)だ。8月末にはフォードが、多目的スポーツ車(SUV)タイプの新型モデルについてEVの開発を中止しHVに切り替えるなど、海外自動車メーカーでは開発方針を転換する表明が相次いでいる。

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そうしたHV見直しの機運を享受しているのが世界のHVシェアで5割以上を握るトヨタ自動車だ。

同社のHVの販売台数は、2024年3月期が359.4万台(前年同期比32.1%増)、2024年4~6月が99.8万台(同23.8%増)と絶好調。加えて、1台当たり利益がエンジン車と同等、車種によってはHVが上回るまでになっている(「営業利益5兆円超えトヨタ、減益予想で示す覚悟」)。

ホンダを牽引する独自のHVシステム

トヨタほどではないが、HV人気の恩恵を受けているのがホンダだ。

ホンダの2023年のグローバル販売台数は前年比5.6%増の398.9万台だった。うちHVは28%増の80.5万台で、HVの年間販売台数はホンダとして過去最高を記録した。北米で「アコード」や「CR-V」、日本では「フリード」「ヴェゼル」「フィット」のHVモデルが好調だった。

「長年磨き上げてきた成果がようやく出てきた」と藤村英司CFO(最高財務責任者)は胸を張る。藤村氏が言う「成果」が、ホンダ独自のHVシステム「e:HEV(イー・エイチ・イー・ブイ)」だ。

HVシステムには、エンジンが発電のみを担いモーターだけで走る「シリーズ方式」、エンジン走行が主でモーターは走行補助として使う「パラレル方式」、エンジンとモーターの両方で走る「シリーズ・パラレル方式」が存在する。

e:HEVはシリーズ・パラレルに近い。やや専門的になるが、駆動源として2モーター内蔵の電気式変速機(CVT)を採用、走行用モーターは駆動軸と、発電用モーターはエンジンと直結している。

「e:HEVの特徴は、モーターが得意とする低・中速領域ではモーターで走行し、エンジンの燃費効率が高まる高速走行時ではエンジンで走行することで、燃費性能と走行性を高めている点だ」と、新型「フリード」で開発責任者を務めた安積悟氏は解説する。

ちなみに、日産自動車の「e-POWER」はシリーズに、トヨタの場合、現行「プリウス」など多くの車種がシリーズ・パラレルに、一部がパラレルに分類される。3方式には一長一短あり、シリーズ・パラレルが原理的に優れているというわけではない。

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