自民党「空騒ぎ総裁選」で最後に笑うのは誰か? 「政治に期待できない」空気感がより強まる懸念も
東洋経済オンライン / 2024年9月26日 8時0分
過去最多9人が立候補する自民党総裁選。テレビ番組や街頭演説などで連日論戦が行われている。これまでの報道によれば、国会議員票と党員票の合計から、元環境大臣の小泉進次郎氏、元防衛大臣の石破茂氏、経済安全保障担当大臣の高市早苗氏の3人が有力視されている。
【画像】過去最多9人が手を取り合い…自民党総裁選、候補者の顔ぶれ
とりわけ台風の目になっているのは、勝利すれば「史上最年少総理」となる小泉氏(43)だ。良くも悪くも一つひとつの発言や動静がマスメディアをにぎわせている。
わかりやすいのが、“小泉構文”“進次郎構文”とも呼ばれる「迷言」だろう。「今のままではいけないと思います。だからこそ、日本は今のままではいけないと思っています」「リモートワークができてるおかげで、公務もリモートでできるものができたというのは、リモートワークのおかげですから」等々、独特の言い回しが特徴だ。
驚くことにそれがニューストピックとして取り上げられることも多い。大手新聞の中には、小泉氏の発言を言語学者に分析させている記事があるぐらいである。
人々の関心を集める大きな渦を作り出してしまっている
実のところ、このようなショーは、政治家を面白おかしく論評したり、嘲笑の対象にすること以上に、人々の関心を集める大きな渦を作り出してしまっている点が非常に重要である。
文学研究者で作家のジョナサン・ゴットシャルは、『ストーリーが世界を滅ぼす 物語があなたの脳を操作する』(月谷真紀訳、東洋経済新報社)で、マスメディアがこぞって過熱する政治ドラマに便乗した結果、2016年のアメリカ大統領選挙でドナルド・トランプ氏を勝利に導いた側面があると論じた。
どのテレビ局も新聞も、トランプ氏を「進行中の政治ドラマの主役に仕立て、彼は毎日、毎時間のように新たな暴言を吐き、新たな展開をもたらして期待に応えた」という。「それはゆっくりと展開する文芸小説ではなかった。大どんでん返しのある無茶苦茶な筋書きの政治メロドラマだった」とし、トランプ氏の「大統領就任は、彼がナラティブ心理をハックし、彼を軽蔑する人々が圧倒的多数だった報道機関に数十億ドル分相当の宣伝を無料でやらせることができた結果だった」と述べた(同上)。
つまり、人々の「物語を語る動物」としてのポテンシャルが見事に活性化されたのである。トランプ氏は、退屈ではない「悪役(ヒール)になりきる」ことによって、ジャーナリストや報道機関がこぞって食い付く絶好のエサとなった。
懸念すべきは、空騒ぎ後の反動
この記事に関連するニュース
-
麻生太郎氏の失脚を心から喜んでいる…「名誉会長の弔い選挙」に前のめりになる巨大宗教団体の本音
プレジデントオンライン / 2024年10月10日 17時15分
-
電撃的な石破首相誕生劇はいつもの手口に過ぎない…女性総理誕生かと思われた総裁選に見えた「派閥の論理」
プレジデントオンライン / 2024年10月4日 17時15分
-
異例ずくめの「総裁選」が映す自民党の崖っぷち感 まるで大相撲の巡業並み?長期決戦の舞台裏
東洋経済オンライン / 2024年9月27日 9時30分
-
日本の選挙は多すぎる…憲政史家が指摘「実質的な首相選びである自民党総裁選が総理任期中に行われる矛盾」
プレジデントオンライン / 2024年9月26日 17時15分
-
自民党はなぜ堕落したのか…「自民党をぶっ壊す!」と煽り国民的人気を得た進次郎パパ小泉純一郎首相の功罪
プレジデントオンライン / 2024年9月25日 10時15分
ランキング
-
1パチンコ・パチスロ「大規模な規則改正」で業界に激震。低迷が続くパチンコの復活はあるのか
日刊SPA! / 2024年10月19日 8時25分
-
2連続強盗、横浜の強盗殺人事件で22歳の男を逮捕 神奈川県警
産経ニュース / 2024年10月19日 23時1分
-
3首都高湾岸線・多摩川トンネルで車7台絡む事故、男性1人が死亡
日テレNEWS NNN / 2024年10月19日 21時55分
-
4東京女子医大の全理事・幹事11人が寄付金問題で引責辞任、新学長に国際医療福祉大の山中寿教授
読売新聞 / 2024年10月19日 18時1分
-
5「闇バイト、嫌になった」 強盗致傷容疑の男、千葉
共同通信 / 2024年10月19日 18時3分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください