Apple Watch"10年目"の刷新が示唆する今後の姿 ヘルスケア機能の進化と日本市場での展開加速の理由
東洋経済オンライン / 2024年9月27日 11時0分
ディスプレイの改良には、斜め方向から見たときの視野角が広がっているなど細かな点もあるが、Apple Watch Ultraの導入に伴って画面サイズの縦横比が自由になったことに伴い、Ultraではない通常のApple Watchもディスプレイの形状を見直したと考えるべきだろう。
つまり、アップルは、ここ数年にさかのぼった時点から、Apple Watchのソフトウェア開発環境を次の世代に移すべく準備を進めてきていたのだと思う。
例えば、今年の製品に採用されているシステムインパッケージ(SiP)のS10には、4コアのNeural Engine、すなわち推論エンジンが搭載されている。コア数だけで判断するのは危険だが、4コア化されたのは昨年のS9からで、ここでダブルタップという新しい操作性が加わった。
ほかにも推論エンジンが活躍するApple Watchの機能は決して少なくない。将来的にはApple Intelligenceの搭載も見据えているはずだ。
しかし、それまでの経過において、いくつかの機能追加が行われるだろう。今年導入されたのが睡眠時無呼吸症候群の診断機能。腕時計には日々の活動の状況や、細かな人体の動きなど、雑多な情報が集まってくる。センサーが増えたり、性能が上がれば、その情報はより膨大なものになっていく。
そして、AI技術が最も得意としているのが、そうした雑多な情報を集約し、そこに文脈を見つけていく推論や、正しい結果を学習する処理だ。スマートウォッチとAIは、本質的に相性がいい。
メディカル領域に踏み込んだ機能を提供
睡眠時無呼吸症候群の診断機能も、推論エンジンを用いて加速度センサーが検知している情報を複合的に判断し、中等症から重症までの睡眠時無呼吸症候群を警告するというものだ。
睡眠時にApple Watchを装着しておくと、診断された際にユーザに警告が出され、ドクターに渡すためのレポートを出力できる。もちろん、実際に病院へ行ってドクターによる診断を受け、治療開始するかどうかは本人次第だ。
アップルによると、日本には睡眠時無呼吸症候群の患者は900万人ほどいると推定されているが、その80%以上が病院での治療を受けていないという。
睡眠時無呼吸症候群は、深刻な事態を招くこともあるうえ、日常生活の質も大きく下げることが知られている。筆者が診断を受けて、寛解するまでの間治療器を使って睡眠していたことが数年間あった。Apple Watchをきっかけに病院に足を運ぶ人が増えれば、社会全体としての健康の質は向上するに違いない。
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