Apple Watch"10年目"の刷新が示唆する今後の姿 ヘルスケア機能の進化と日本市場での展開加速の理由
東洋経済オンライン / 2024年9月27日 11時0分
特筆すべきは今回、厚生労働省の認可を受け、正式に診断を下す機能としてアナウンスされることが決まったことだ。まだ北米でも提供されていないが、年末までにFDA(食品医薬品局)の認可を受けて提供が開始予定で、それから時を置かずに日本でも提供される見込みだ。
すでに心電図の計測や、血中酸素濃度センサーの搭載、心房細動の検出など、ヘルスケアとメディカルの領域をつなぐための機能がApple Watchにはいくつも搭載されているが、日本での導入は年単位で遅れるのが通例だった。
それが今回、タイムラグなしで日本でも利用可能になったのは喜ばしいことだ。
日本を含む各国の保健当局とのコミュニケーション窓口が、これまでの経緯からクリアになったこともあるのだろうが、アップルが先導して、こうした認可を取り付けることによって、ライバル企業も類似する機能を搭載しやすくなる。
Apple Watchの次の10年
ビジネスの観点で、Apple Watchはアップルにとって極めて重要な製品であるのは冒頭でも述べた通りで、Apple Watchが生活の質を高めるために欠かせない道具になっていくほど、消費者はiPhoneから離れられなくなっていく。
Apple Watchは、iPhone、iPad、Macといったアップル製品の価値を高めてくれる意味で単体製品にとどまらない価値を出しているうえ、アップルのエコシステムを支える大きな要素になっている。
しかし、それだけではない。
アップルがフォーカスしているヘルスケアとメディカルの領域を結びつけ、常に身に着けているデバイスを通じたバイタル情報を活用し、ユーザーの健康と生命を守るコンセプトは、AIの発達によってさらに多くの領域に広がっていく。
そして、それはアップルだけにとどまるものではなく、iPhoneが世の中にある携帯電話を進化させたように、世の中にあるスマートウォッチ、ウェアラブル製品の数々が、Apple Watchの切り開いた道を道を行くことで、社会全体に前向きな影響を与える。
今後、アップルはApple Watchの中により強力な推論エンジンを組み込んでいくだろう。Apple Intelligenceが賢くなっていけば、Apple Watchの中とiPhoneの中、さらにその先にあるクラウドを結びつけた3レイヤーによるAI処理も可能になるだろう。
本田 雅一:ITジャーナリスト
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