激安EC「Temu」テレビ、YouTubeで広告増える謎 安さの理由は?幅広い世代が利用している
東洋経済オンライン / 2024年9月27日 10時32分
「Temuをダウンロードしたんだけど、あまりの安さに驚いて!通知が次々来るし、いろんなものを買った。アメリカ人のコメントが多いけど、あれなんなの?」
知人の50代女性が雑談の中でふいに中国発越境ECアプリ「Temu」の話を始めたので驚いた。
2022年9月にアメリカでサービスを始め、日本に上陸したのは2023年夏。わずか1年ちょっとでここまで浸透しているのか。データ分析会社によると、日本の月間利用者はすでに2000万人に迫っているという。
前編では日本でTemuの利用者が広がる要因、後編では品質問題など、SNSでも話題になるさまざまなギモンをTemuの広報担当責任者にぶつけた。(後編:「激安EC「Temu」が答えた!"利用者が抱くギモン」)
桁が1つ違うと思うほどの安さ
ワンピースが1000円、ビーズがちりばめられた帽子が400円……。Temuのアプリで商品名を検索すると、桁が1つ違うんじゃないかと感じる価格が表示される。
「なぜそんなに安いのか」。彼女の疑問に対する答えの1つは、Temuの運営企業であるPDDホールディングスの出自にある。
同社は2015年、中国で激安ECプラットフォーム「拼多多(ピンドゥドゥ)」を開設した。アリババグループなど既存のEC企業が日本や欧米のブランドを誘致し、高品質の商品を販売する方向に向かっていた中、拼多多は地方の中高年層を主なターゲットに激安商品を販売。「ローエンド専門」など、揶揄の対象にもなった。しかし消費者の「安さ」へのニーズは大きく、気づけば拼多多のユーザーは9億人に達した。
ECプラットフォームとしての差別化に成功すると、iPhoneのような高額品も取り扱うようになり、2018年にはナスダックに上場した。中国の消費が低迷し、デフレがささやかれるこの1、2年は、さらに存在感を高めている。
同じく中国発の越境アパレルEC「SHEIN」がアメリカ市場で大成功したのを受け、PDDホールディングスは2022年9月、「Temu」を立ち上げアメリカでサービスを始めた。激安商品のサプライチェーンを中国で確立したうえで参入したため、海外でも最初から大規模に展開できたのだ。
日本には2023年夏に上陸したが、Temuは市場が大きいアメリカに力を入れており、日本市場はテストマーケティングと見られていた。
何かと比較され、Temuと訴訟合戦を繰り広げているSHEINは日本にチームがあり、ニュースリリースを発表したり、広報代理店を通じて取材を受けているのに対し、Temuはその手の窓口も日本にない。
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