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「踊る大捜査線」新作公開が示す刑事ドラマの悲喜 新作映画公開&過去作一挙放送から何が読み取れるか

東洋経済オンライン / 2024年9月28日 20時0分

本広さんはドラマ「アンティーク ~西洋骨董洋菓子店~」「SP 警視庁警備部警護課第四係」「ナンバMG5」(すべてフジテレビ系)、映画「サトラレ TRIBUTE to a SAD GENIUS」「サマータイムマシン・ブルース」「UDON」「少林少女」、アニメ「PSYCHO-PASS サイコパス」(フジテレビ系)などの監督を務めました。

今秋の新作「室井慎次」のように青島以外の登場人物が主人公を務める作品も多い「踊る」シリーズは、織田さんの主演作であることと同等以上に「亀山・君塚・本広トリオの作品」と言っていいでしょう。

刑事ドラマの定番を覆した脚本

中でも「踊る」を国民的ヒット作に導いた中心人物は、脚本を手がける君塚さん。

ラブストーリーの概念を超えた「ずっとあなたが好きだった」だけでなく、最後までジャンルのわからない作品だった「ラブコンプレックス」(フジテレビ系)、月9ドラマにロードムービーの要素を採り入れた「ホーム&アウェイ」(フジテレビ系)など、これまでドラマのジャンルや放送枠のセオリーをあえて避けるような物語を手がけてきました。

「踊る」シリーズも同様で、それまで放送されていた刑事ドラマの逆を行く、あるいは、別の楽しみ方を見せることを徹底。

しかし、「踊る」シリーズは「ずっとあなたが好きだった」の冬彦さんのような奇抜な設定や展開ではなく、あくまでリアリティを追求するという選択をしました。これこそが国民的ヒット作になったポイントでしょう。

それまでの刑事ドラマは、「主人公をはじめとするカッコイイ刑事たちが犯人を追い詰め、逮捕する」というコンセプトの物語。「主人公が犯人を逮捕するクライマックスでカタルシスを得てもらう」という形が定番化されていましたが、「踊る」は青島が犯人を逮捕するシーンはほとんどなく、本庁(警視庁)に手柄を取らせるようなシーンが目立ちました。

そもそも物語の舞台は本庁の捜査一課などではなく所轄の湾岸署。各エピソードは事件の解決に青島を取り巻く警察の人間関係を絡める形で描かれました。

その人間関係のリアリティと面白さは君塚さんが丁寧に現場取材をしたことの表れであり、しかも青島が元営業マンであることも含め、視聴者が自分に置き換えて見やすいものだったのです。

視聴者は放送が進むたびに「この刑事ドラマはひと味違う」と気づき、青島たちに感情移入しはじめる人が続出。本庁と所轄の格差は、一般企業の本店と支店、主要部署とその他の部署などに置き換えられ、それぞれの刑事が会社員と同じような気持ちで働いていることが伝わり、共感を集めていきました。

「相棒」シリーズとの明確な違い

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