1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

「リスキリングは必要?」と思う人の残念な"誤解" 「最近忙しいので……」と断るのはもったいない

東洋経済オンライン / 2024年9月29日 8時0分

厚生労働省の「職場における学び・学び直し促進ガイドライン」を確認してほしい。このサイトには、企業と労働者双方が意識すべきリスキリングについて明確に示されている。

リスキリングに関する誤解が、さらに誤解を生むことになりそうなので、ここで言葉の定義を整理してみよう。最低限、次の4つの言葉は理解しておきたい。

(1)アップスキリング → 業務に必要な知識やスキルを手に入れること

(2)リスキリング → 新しい職業に就くために、新しい知識やスキルを手に入れること(転職とは限らない)

(3)アウトスキリング → レイオフの可能性の高い社員が、転職に役立つ知識やスキルを手に入れること

(4)リカレント教育 → 仕事と切り離して学び直すこと(生涯学習)

一般的な社員教育はリスキリングではなく、アップスキリングと呼ぶ。実務スキルのみならず、マネジメント教育、マーケティングや生産性アップの研修など、すべてアップスキリングの範疇だ。

その点、リスキリングは「新しい職業に就く」ための教育だ。「マスト(Must)」ではなく、どちらかというと「ナイストゥハブ(Nice to have)」。「あればよい」けれど「必須」ではないと受け止められがちだ。

そのため「ロジカルシンキングの研修を受けてみないか?」「デジタルスキルをゼロから学べる講座があるが、どうだ?」と会社から勧められても、「時間があればぜひ受けたいのですが、最近忙しいので……」などと言って断る人が多い。

私自身がこういった研修の講師をしているので、この点は肌で感じている。しかし、この姿勢は極めてもったいない。

ここ数年、事業の構造改革のために希望退職者を募るケースが見られるようになった。業績が悪化しなくても、人材の入れ替えを積極的に実施する企業は今後も増えていくだろう。

企業は生き残りをかけて、事業の新陳代謝を進めていかなければならない時代になった。そのためにも新事業に貢献できる人材を外から求め、そうでない人材と入れ替えるのは当然だ。

リスキリングを義務づけられ、「私はリストラ対象か?」と疑心暗鬼になるのもやめよう。リストラに関わる「学び直し」はアウトスキリングであり、特にデジタルスキルなどが足りないベテラン社員に、転職に役立つスキルアップの機会を与えるものだ。一般的なリスキリングとは、意味合いが異なる。

リスキリングという言葉が普及する前は、リカレント教育という言葉がよく使われた。リカレント教育は仕事とは関係のない生涯学習を指し、他の3つと明確に異なる。私の知人も50歳を過ぎてから経営を勉強し直したいと言い、会社を辞めて大学に入りなおした。これが典型的なリカレント教育である。

ほとんどの社会人が「勉強不足」の日本

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください