セブンより店舗少ない企業が買収提案できる事情 同じ「コンビニ」でもビジネスモデルが対極
東洋経済オンライン / 2024年9月29日 10時0分
ACT社のコンビニは基本的にガソリンスタンド併設で、いわば砂漠における燃料と食料の補給所のようなイメージの店であるが、北米におけるコンビニビジネスはこうしたタイプが8割を占めるらしい。
次の補給所まで何時間もかかるようなハイウェイの売店は、極論すれば「食料と燃料は放っておいても言い値で売れる」のだから、収益が高くなるのも当たり前であろう。顧客がよそに行く選択肢がない状況で、優位な立場で商売を行うビジネスは、閉鎖商圏ビジネスと呼ばれ、昔から儲かる商売なのである。
セブン&アイの主力業態である日本型コンビニのビジネスモデルはまったくちがうということはご存じのとおり。世界最大の大都市圏である首都圏から発祥しているセブン-イレブンのキャッチフレーズは「近くて便利」である。密集した店舗網で顧客に近づき、商品の品質、サービスレベルの向上で来店を競う日本型コンビニは、本質的な利便性向上で来店動機を創り出す。
顧客にとってのコンビニエンスを追求し続ける日本型コンビニは、閉鎖商圏ビジネスである北米コンビニとは、ある意味対極に位置する、といっていいだろう。どちらが手間と費用がかかるかといえば、言うまでもなく日本型コンビニであり、同列に並べた場合、収益性で北米モデルに勝つことは困難かもしれない。
実は、閉鎖商圏ビジネスは日本のコンビニ業界にも存在している。JR東日本クロスステーションの運営する駅ナカコンビニ「NewDays(ニューデイズ)」である。利用者は駅構内に入った時点で、飲食料品を買いたければ、他の選択肢はほとんどない。この閉鎖商圏で商売するニューデイズの平均日販は、ローソン、ファミリーマートをはるかに凌駕し、業界トップの商品、サービスと誰もが認めるセブン-イレブンをも上回る。
閉鎖商圏ビジネスである駅ナカビジネス全般を運営する、JR東日本の2023年度流通・サービス事業が、売上高3794億円、営業利益540億円(営業利益率14.2%)と、リテールビジネスとしては高収益を維持しているのも、この閉鎖商圏を背景としているからである。
高速道路のサービスエリアの売店も似た構造
日本では、こうした駅ナカの他に、高速道路のサービスエリアビジネスが北米コンビニビジネスと似た構造であろう。過疎地におけるニーズ独占という意味では、北海道では圧倒的人気を誇るローカルコンビニ「セイコーマート」も過疎と冬期の移動制約を背景にした閉鎖商圏ビジネスという側面を持っている。
この記事に関連するニュース
-
やっぱり、セブン&アイの買収提案は悪い話なのか いやいやそうでもない、これだけの理由
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月21日 9時35分
-
セブン&アイHDどうなる? カナダのコンビニ大手が買収提案の衝撃(有森隆)
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年9月18日 9時26分
-
なぜ今? セブン&アイ買収提案、外資大手クシュタールの狙いとは
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月11日 6時45分
-
セブン&アイHDは加社による買収提案を拒否。経営陣の考えを支持する理由(窪田真之)
トウシル / 2024年9月10日 8時0分
-
セブン「買収提案」の意味は重い...日本企業の「バーゲンセール」が始まり、外資の草刈り場になる未来
ニューズウィーク日本版 / 2024年9月5日 17時11分
ランキング
-
1「90円はなかなか」夢洲駅までいくら? 大阪メトロの運賃が明らかに 一日券は使えない!?
乗りものニュース / 2024年9月28日 17時12分
-
2【どうして?】ブレーキを踏んでいないのに…ブレーキランプがつきっぱなし 「バッテリー上がりや思わぬ事故の原因に」整備士が対処法を解説
まいどなニュース / 2024年9月28日 7時32分
-
3栃木県の遊園地で「時給2500円」バイトが見せた驚きの成果とは? 狙いは人手不足解消じゃなかった!
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月29日 6時15分
-
4美容室の倒産が増えているのに、なぜ「特化型店」は好調なのか
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月29日 6時20分
-
5YouTubeプレミアムに「月額1680円」支払っている人は要注意!? 申し込みが「アプリ」と「ブラウザ」で年4800円の差になる場合も! 申し込み方法で料金が異なる“サブスクサービス”を解説
ファイナンシャルフィールド / 2024年9月28日 5時10分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください