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「肺に先天性障害」の中学生、弟と実現した修学旅行 「俺だってスプラッシュマウンテンに乗りたいよ」

東洋経済オンライン / 2024年9月30日 13時5分

たしかに旅行の行程表には「朝食は8時から」と書かれていた。とはいえ、ツアーナースがその通りの時間で行動したのでは、仕事をしているとは言えない。

「せめて30分くらい早く食堂に行き、先生や生徒たちを出迎える。そこで声かけをして、ツアー参加者たちの体調をそれとなく確認する。我々添乗看護師からすると当たり前のことだけど、それを怠る人もいる。その場では何事もなく時間は過ぎたのですが、後日校長先生から直接連絡がきて『こんなことでは次回はお願いできかねる』と言われたようです」(馬場看護師)

他にも、自由行動後の集合場所に、両手いっぱいのお土産を抱えて帰ってきたナース。行った先のテーマパークで、アトラクションを楽しみすぎて集合時間に遅刻したナースなど、笑えないエピソードもある。

「観光地は楽しい場所です。ついつい気持ちが緩みがちなのは仕方ないけれど、私たちは仕事で行っているわけです。そこを履き違えると、次からのご依頼が途切れてしまいます。とはいえ、ナースとして正しく行動することが、逆にクレームにつながることもあります」(馬場看護師)

旅先で客がケガをした場合はどうするか

医療従事者である看護師は、旅先でケガ人が出ると、対応を求められる。

「これは、弊社の添乗看護師の例なのですが。あるツアーでの出来事です。ホテルで、旅行客が火傷をしてしまったことがありました。当然ナースが対応します。重症ではなかったのですが、近所のクリニックに連絡を入れて、ナースが付き添って受診しました。ところがこれが後々、思いも寄らないクレームにつながったのです」(馬場看護師)

医療従事者として、間違ったことは何一つしていないのだが、火傷の患者がある種のクレーマーだった。受診したクリニックの「医師の説明がわかりにくい」と言い出し、付き添ったナースにまで、その矛先を向け始めた。

「医師の施した処置には何ら問題がなかったのですが、患者さんは、『この火傷はもっと重症だ』と言い張る。『看護師さん、あなたもそう思うでしょ』と、言い始めたのです。そこで我々添乗看護師が何かしらの答えを口にするのは、職域を越えることになります。その場は医師が説明をくり返すことで、何とか収まったのですが、この患者さんは、旅行代理店にまで『対応がなっていない』と、訴えるほどでした」(馬場看護師)

それ以来、アテンダントナースでは、同じようなケースが発生すると、ナースがひとりで付き添うことはせず、必ず旅行代理店のスタッフなど、第三者を伴ってクリニックなどを受診するというルールをつくったという。

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