1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

「肺に先天性障害」の中学生、弟と実現した修学旅行 「俺だってスプラッシュマウンテンに乗りたいよ」

東洋経済オンライン / 2024年9月30日 13時5分

ただ、貴明本人はかなりショックだったようだ。

「みんなに迷惑をかけるから、明日のディズニーランドは諦めるよ」

弟の文哉に、そんな弱音を吐いた。

「そんなに落ち込むなよ、微熱だよ。明日になれば下がってるよ」

文哉は笑って励ました。

弟・文哉のアイデア

翌日、幸い貴明の熱は下がった。近所のホテルに滞在していた母親も一安心。吉田兄弟は揃ってディズニーランドに行けることになった。

バスで到着すると、一足先に文哉がディズニーランドのスタッフの元に駆け寄った。事前に依頼しておいた園内用の車椅子を受け取るためだ。文哉は兄のために、学校や旅行会社協力のもと、前々からランド側と連絡を取り合い、車椅子がレンタルできるように手配していたのだ。

「ディズニーランドは広いから、今日はこれに乗って移動しようぜ。ほら、ここに酸素ボンベも入れられるんだぜ」

文哉はそう言いながら、背中のポケットにボンベをセットした。

「ありがとう」

突然のことに、貴明はそれしか言えなかった。

車椅子は友達が代わる代わる押してくれた。おかげで、貴明は体調を崩すことなく過ごすことができた。念願だったスプラッシュマウンテンにも乗ることができ、兄弟仲良く写真に写ることができたようだ。

「ここまでお話ししてきた、吉田貴明君と文哉君のエピソードは、10年ほど前の出来事です。弟の文哉君は、成人して元気に暮らしているようですが、兄の貴明君は、二十歳になる前に亡くなったと聞きました。中学校の修学旅行は、最高の思い出になったに違いありません」(馬場看護師)

旅人たちの思い出作りを支えるため、ツアーナースの仕事は続く。

末並 俊司:ライター

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください