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「年収500万?」コンサルの俗化が進む困った事情 「安かろう悪かろう」が蔓延し、レベルの低下も

東洋経済オンライン / 2024年9月30日 18時0分

それだけではない。その企業にとって何が一番の問題であり課題なのか? まだ誰も意識化できていないところに光を当てる力が求められる。それには知識や情報だけでなく、ある種のクリエイティビティが不可欠な要素となる。

つまりコンサルタントは学者のような知識と情報を持ち、さらに職人のような現場感覚とそれに基づく経験値を持ち、その上で芸術家のようなクリエイティビティが要求される仕事なのだ。

そういう力を身につけるには、大変な勉強と努力と、そして持って生まれた才能が必要だ。1人の優れた戦略系コンサルタントが誕生するためには、お金も時間も労力も、大変なコストがかかっているわけだ。

そんなコンサルタントの年収がわずか数百万ではおかしいし、彼らによるコンサルティングが数千万円に満たないはずがない。もしそんなコンサルがいたら、それはまがい物のコンサルだということだ。

残念ながら、コンサル全盛の時代という言葉とは裏腹に、安かろう、悪かろうのコンサルタントもまたあふれている時代だと思う。

その1つの現れが、コンサルタントの数の多さだ。

私がBCGの日本支社にいた頃は、社員は多いときで50人。いわゆる少数精鋭だった。ところがこの前聞いてびっくりしたのだが、いまや1000人を超えているそうだ。残念ながら、コンサルタントの質はそのぶん落ちているといわざるをえない。

昔はよかったというような話はしたくない。けれど、私たちの若い頃はそれこそハーバードのような一流の大学でも、とくに優秀な成績の人間を採用して猛特訓する。もともと頭はいいし、一生懸命勉強する人たちだ。毎日深夜まで仕事をして、出てこなくていいのに、土日も出勤して仕事をし、研鑽を積む。

少数精鋭から玉石混交へ

それで7年後どうなるか? 7人いたうちの6人は脱落して、生き残るのは1人だけ。そういう異常なほど厳しい世界だった。当然、残った人間はコンサルタントとして、どこに出しても恥ずかしくない貴重な人材だ。

膨大なコストをかけて採用し、教育して、結局ほとんどが辞めていく。だからコンサルティング会社としてはコンサルティング料にもそのコスト分を上乗せしないと経営が成り立たない。安かろう、悪かろうのコンサルティングなど、生まれる余地がないわけだ。

ところが昨今は、戦略系コンサルだけでなく、総合系、会計系と呼ばれるコンサルなどがあり、いずれも桁違いに社員が多い。某総合系の大手などは2万人を超えているそうだ。

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