「石破氏の謝罪演説」から斎藤元知事に言えること 謝罪で成功した男と絶対謝らない男を分けた命運
東洋経済オンライン / 2024年9月30日 20時30分
9月27日、自民党新総裁に選ばれたのは、これまでに4度、総裁選に挑戦して落選してきた石破茂氏でした。強力なライバルとの戦いを制した要因はさまざまあるようですが、筆者が注目したのは、石破氏の決選投票の最終演説。なんと「謝罪」から始まったのです。
【画像】石破氏のスピーチに「拍手してない」と批判された麻生太郎氏
「最後の挑戦」は謝罪から始まった
田中角栄の弟子筋にあたる政治家は多々いる中、石破茂氏といえば正論ばかり吐くので味方が少ないなど、国民からの人気とは裏腹に、党内での支持に弱みがあると言われていました。今回の総裁選挙は自身にとって「最後の挑戦」だと表明しています。
史上最多の候補が居並ぶ中、石破氏は前評判の高かった高市早苗氏に次いで2位となり、決選投票まで進むことができました。3位であれば、「最後の挑戦」は叶わず退場していたのです。その挑戦の肝となる最終演説は、異例の「謝罪」から始まりました。
私は至らぬものでありまして、議員生活38年になります。多くの足らざるところがあり、多くの方々の気持ちを傷つけたり、いろんな嫌な思いをされたりされた方が多かったかと思います。自らの至らぬ点を心からお詫びを申し上げます。とともに、この総裁選挙を通じまして、多くのことを学ばせていただきました(石破氏のスピーチより抜粋)
自分の実績や大物政治家との関係性といったアピールではなく、謝罪という自己否定から入るスピーチは特異です。しかし総裁選後の報道では、この最終演説が良かったという声が多数見られました。
「最後の戦い」の最終場面において、自らを否定し、謝罪するという形をとることによって、敵も味方も惹きつけることができたのではないでしょうか。
石破スピーチの肝はツンデレ?
麻生太郎内閣時代、大臣でありながら麻生氏を批判したり、第1次安倍晋三政権下では安倍氏に辞任を求めたりと、首相にすらぶつかる強硬さを持つ石破氏が、総裁選決選投票という最も注目を浴びる場で謝罪を述べたことは、大きな効果を得られたと思います。
総裁選とは違うだろとツッコミが入るかもしれませんが、一般人において人生を左右する採用面接では、必要以上に謙遜してしまうのはあまり得だと言われません。
私も就活生や転職希望の社会人への面接指導では、できるだけポジティブに自分の強みや優位性をしっかりアピールすることを勧めます。相手が外資系企業などであれば、ウソこそつかないものの、膨らませた表現は普通だからです。
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