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「石破氏の謝罪演説」から斎藤元知事に言えること 謝罪で成功した男と絶対謝らない男を分けた命運

東洋経済オンライン / 2024年9月30日 20時30分

表面的なお詫びはしても、本質部分では終始一貫して、一度も謝罪はしていないといえます。

斎藤氏の判断は、失職を受け入れる会見で述べていたように、「(知事を)辞めるほどの問題ではない」というものです。だから謝る必要もないという理屈になるのだと思います。

私はハラスメントの専門家という立場から、さまざまなマスコミの取材を受けましたが、斎藤氏のパワハラ行為も、公益通報対応も、いずれもきわめて深刻な違反行為であり、首長としての責任は免れないだろうと述べました。

たいした問題ではないどころか、知事を続けるほうが無理なほどの問題だと私は思います。

もし斎藤氏が謝っていたら

では斎藤氏が当初から反省や謝罪を表明していれば、事態は変わったでしょうか?

しかしながらそれは難しかっただろうと思います。

謝罪は危機対応、危機回避の手段として役立つことはありますが、限界があります。特に法律に反する行為については、謝罪で何とかなることはまずありません。

芸能人の不倫記者会見が良い例ですが、不倫自体は夫婦、家族間の問題であり、刑法に触れるものではありません。だからうまい謝罪ができた人はそのまま芸能活動を続けられています。

しかしこれが、違法薬物や事故で他人に傷害を与えてしまったような違法行為の場合、まさに「謝って済む」ことはありません。兵庫県庁では、既に県職員が2名、自死という形で命を落としています。

パワハラ的言動だけが問題だったのであれば、もしかすると初動から丁寧な謝罪などでダメージコントロールができていれば、流れが変わった可能性はあり得ます。

県民の判断は、この先の知事選挙で明らかとなるでしょう。一方パワハラや公益通報対応、さらには疑惑の本丸ともいわれる阪神・オリックス優勝パレードにまつわる問題など、事実究明は終わっていませんし、もし事実であればお詫びで何とかなるものではないでしょう。

4度の敗北を乗り越えて、ついに総裁に選ばれた石破氏。謝罪という異例のアピールは、決して無駄にはならなかったように思います。一方で、激しい批判を浴びても自己肯定を覆すことなく、出直し選挙に臨む斎藤氏。両極端な態度の結果はこれから明らかになるでしょう。

増沢 隆太:東北大学特任教授/危機管理コミュニケーション専門家

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