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岡山「ベンチャーの村」に出向したJR西社員の仕事 鉄道会社に新しい風を吹かせることができるか

東洋経済オンライン / 2024年10月1日 7時0分

JR西日本中国統括本部経営企画部内藤真也氏(左)と西粟倉村に出向中の武部啓吾氏(右)(写真:村上悠太)

JR山陽本線上郡駅から第三セクターの智頭急行線で北へ約45分のところにある、西粟倉村。岡山県北部に位置し、周囲は深い山林に囲まれた人口1600人ほどのこの村は、近年多数のローカルベンチャー企業が集まり、「ローカルベンチャーの聖地」として注目を集めている。

【写真を見る】岡山県西粟倉村で村内産の土産物やジビエ・産直野菜を使用したランチを提供する「BASE101%-NISHIAWAKURA-」とは

そんな西粟倉村で、JR西日本に勤める1人の社員が今、村の仕事に汗を流している。

地域の中核企業に社員を派遣

JR西日本では2022年から「地域共創モデル」事業を掲げ、地域の中核的企業への成長支援として資金支援・社員派遣、情報・ノウハウ提供を通じた協業事業を推進している。

これまでに、しまなみ海道の途中に位置する瀬戸田町のまちづくり会社「しおまち企画」へ出資を行い、かつて航路経由地として賑わいを見せた瀬戸田を、再び滞在型観光の拠点とするプロジェクトに参加。「広域な意味で自社エリアとなる、瀬戸内海の観光回遊性向上や活性化を通し、地域を知り、地域と共に歩むことで鉄道事業者として次なる活路を見出す」と本事業を進める、JR西日本中国統括本部経営企画部の内藤真也氏が話す。

西粟倉村との連携事業は本モデルの2例目で、今回はJR西日本の社員を現地に派遣する初のケースとなった。

自ら挑戦したいと手を挙げたのが、武部啓吾氏だ。現在は西粟倉村産業観光課に出向しつつ、村内に本社を置く株式会社エーゼログループの業務にも携わっている。同社は相反することが多い「企業の利益」と「社会貢献」の両立を目指す。正反対の色である白と黒を模様にするゼブラ(シマウマ)に例え、地域の課題解決に取り組みつつ、持続的な繁栄を目指す、いわゆる「ローカルゼブラ」企業である。

出向期間は最長で2027年5月末まで。JR西日本には鉄道分野に特化した社員が多いが、より深く地域に溶け込むことで、これまでの鉄道会社にはいない人材になることが期待されている。

武部氏はJR西日本では建設工事部に所属し、北陸新幹線敦賀延伸開業における敦賀駅建設の中心的人物でもあった。「駅を造ることで、地域に貢献しているやりがいは感じていた」と話す武部氏だが、「社外の人材育成プログラムで行ったカンボジアで、学校に行くことがかなわない女の子に出会い、その子らに将来を見越した基礎的な教育と技術支援を行いました。その際、心からの『ありがとう』という一言が今でも忘れられない」とにわかに目を潤ませる。

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