近視の人は要注意、若くても陥る「緑内障リスク」 40代になったら受けておきたい「目の検査」2つ
東洋経済オンライン / 2024年10月1日 10時0分
40歳以上の20人に1人、60歳以上の10人に1人が発症している緑内障(「日本緑内障学会多治見緑内障疫学調査」報告)。視野が狭くなる病気だが、早期は自覚症状がなく、本人が気づかないことが多い。
どのような人が緑内障になりやすいのか、早期に発見するにはどうすればいいのか。東京大学医学部眼科学教室教授で、日本緑内障学会の理事を務める相原一医師に聞いた。
緑内障とは、眼圧(眼球の内側から外側に向かってかかる圧力)によって視神経が障害される病気のこと。
緑内障で視野が欠けるしくみ
モノを見るために必要な視神経とつながっている眼底のくぼみ「視神経乳頭」は圧に弱いため、眼圧が高くなると視神経乳頭の構造が変化して、視神経を傷つけてしまう。その結果、視野が欠けるというわけだ。
眼圧を決めているのが、眼球にある「房水(ぼうすい)」という液体だ。つねに目の中を循環していて、その量と排出のバランスによって一定の圧を保っている。
ただ、低くても一定の圧がかかるため、視神経乳頭は常にその圧にさらされ、少しずつ傷んでいく。緑内障が加齢によって増えていくのは、そのためだ。もちろん、眼圧が高いほどより早く視神経乳頭が障害されることになる。
では、眼圧はどの程度高くなると、視神経乳頭を激しく傷めることになるのか。相原医師はこう説明する。
「眼圧の正常な範囲は10~20mmHgといわれていますが、その範囲内でも視神経乳頭が傷む人はいますし、反対に眼圧が21mmHg以上でも傷まない人もいます。つまり、個人差が大きいのです」
若くても近視が強い人は注意
相原医師によると、近年は「正常眼圧緑内障」と呼ばれる、“眼圧は正常な範囲なのに視野が欠ける人”が多くなっているとのこと。その理由として考えられるのが、近視の増加だ。
近視の人は眼軸長(眼球の前後の長さ)が正視(近視や遠視などがない状態)の人よりも長く、近視の程度が強いほど長くなる。
「近視の進行によって眼軸長が伸びると、視神経乳頭に向かっている神経線維が眼球の中心に向かって引っ張られます。その結果、視神経乳頭が傷み、とくに中心に近い視野が欠けるのではないかと考えられています」
と相原医師。比較的若い年代で緑内障を発症する人は、これに当てはまる傾向があるが、一般的な緑内障と同じような経過をたどるかどうかは、まだ明らかになっていないという。
また、近視でコンタクトレンズを使用する際には、眼科の受診が必要になる。そこで検査を受けたら緑内障だったということもあるそうだ。
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