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一部改良「GR86/BRZ」に見たスポーツカー進化論 発売から3年、D型で成熟度が増したFRスポーツ

東洋経済オンライン / 2024年10月1日 9時30分

D型では、その二面性が一転。初期反応でみせたタメの時間を延長したかのような、じんわりながらもわずかなダイアゴナルロールをみせたあと、後輪はグッとこらえながらやはりじんわりと動き、カーブへの耐性(左右方向)と駆動力/制動力伝達(前後方向)を高い次元で保ってくれる。

誤解を恐れずにいえば、BRZ的な要素をGR86が採り入れたかのように感じたのだ。また、電動パワーステアリングについてもダンパー特性変化にあわせてアシスト量を増やす(操舵フィールとしては軽く感じる)方向に変更された。

「いくら協業とはいえGR86がBRZ化するわけない!」と感じるだろう。そこはそのとおりで、GR86はそれこそ先代で初代の「トヨタ86」から続く“バキッとした旋回性能”はそのままだ。なによりトヨタ(GR)/SUBARUの両社に開発チームがあるわけで、安易にひとつの方向性でまとめあげるワケがない。

細かく見ていけば、コーナーアプローチで誘発させたオーバーステアを活かして慣性ドリフトする際も、GR86ならではのガチッとした塊感や一体感はそのままで心強いし、なによりその気にさせる。そのうえで、これまでのGR86にはなかった“じんわりとしたタメ”を採り入れ、車両挙動に対して連続的に活かしていくプロセスの導入に筆者はBRZ風味を感じたのだ。

GR86とBRZの相違点

GR86でもアクセル操作に対するレスポンス向上が図られた。BRZとの違いは全域で反応力を上げている点だ。今回のショートコース試乗ではそれを試すため、3速で回るコーナーを2速のまま高回転域を使って意図的に走り反応テストを繰り返したが、高回転域であってもエンジンレスポンスは素早いまま。また、ヒール&トゥによるブリッピング操作にもこれまで以上に正確な反応を示した。詳細は筆者制作の動画サイト「西村直人の乗り物見聞録」で確認いただきたい。

「GR86らしいキビキビ感を大切に、荒れた路面での走行性能を高めました。GR86はオンロードサーキットからオフロードの未舗装路まで幅広いモータースポーツシーンで支持をいただいています。今回はそうしたGR86ドライバーの声を真摯に受け止め一部改良へとつなげました」と語るのはTOYOTA GAZOO RacingのGAZOO Racing CompanyでGRZを務めるGR86開発責任者の藤原裕也さんだ。

今回は試乗できなかったが、6速ATモデルにはマニュアルダウンシフト制御に改良が加えられた。コーナー進入時にダウンシフトを許容するシーンを増やし、ドライバーが変速したいところでの対応回数を増やしている。具体的にはアクセルやブレーキの操作量や車体の減速度などからドライバーのダウンシフト意図をくみ取り、変速終了時のエンジン回転数をC型比で最大1460回転上げる(≒ダウンシフト可能シーンを増やす)制御を施した。

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