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AWS、KDDIで薫陶受けた「ベンチャー社長」の素顔 3月上場ソラコムがたどった異色の成長の軌跡

東洋経済オンライン / 2024年10月1日 8時0分

「ウーバーもインスタグラムもネットフリックスも、すべてAWSを使って始まった。若くてお金もないけれども、アイデアがある若者たちが自分のアイデアを具現化できて、世の中に良いサービスを作ることができる、オープンでフェアなプラットフォームを開放した」(玉川氏)

日本はもちろん、世界中でAWSが急速に普及するのを当事者として経験する傍ら、玉川氏はITの世界に新たな波が到来しつつあるのも感じた。それが、IoTだ。

国内顧客と向き合ううちに、「日本が得意な自動車や家電といった製造業で、いろいろなモノからデータをクラウドにためようと思ったときに、その通信がない」と気が付いた。モノ作りが得意で、モノのデータをDX化しなければならない日本を起点に、「AWSのIoT版」をやるべきではないか――。そんな思いが募って起業したのが、ソラコムだった。

収益モデル、組織にも“AWS色”

AWSに着想を得て生まれたソラコムが目指すのは、「IoTテクノロジーの民主化」だ。ビジネスモデルについても、AWSの影響を受けているという。

ソラコムが柱とする収益構造は、サブスクなどから継続的な収入を得る「リカーリング」モデル。IoTに必要な機器を提供し、プラットフォームを継続利用してもらうことで、安定的な売り上げ拡大を見込める。玉川氏は「AWSのプラットフォーム提供モデルからいろいろと学んだ」と話す。

脇を固めるソラコムの幹部も、AWS出身者が多い。CTO(最高技術責任者)の安川健太氏、上級執行役員の片山暁雄氏、齋藤洋徳氏らはいずれもAWSの出身だ。

内実ともにAWSと切り離せない形で創業したわずか3年後、ソラコムは、日本の大手通信キャリアであるKDDIの傘下入りという道を選ぶ。運用期限内のエグジットを目指すファンドなどよりも、株主の意向に左右されにくい安定的な経営基盤を手にするため、ソラコムから株譲渡を持ちかけた。

KDDIという大企業グループに入ったことは、顧客との関係構築で大きなメリットを生んだ。玉川氏は「(それにより)永続的に安定してインフラを提供できる会社と認識いただいた」と振り返る。

KDDI傘下入り時点に描いた計画を大きく上回る水準で成長したソラコムは、「上場」という次のステージを見据えるようになる。世界展開に向けて「もう1回しっかりアクセルを踏んだら、もっと成長できるのではないか」と考えた玉川氏は、KDDIの髙橋誠社長に相談し、2020年からIPOに向けた準備を始めた。

KDDI傘下で学んだこと

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