アップルと真逆、HTCが打ち出す「VR空間」の新戦略 どこでも使える「手軽さ」でシェア拡大を狙う
東洋経済オンライン / 2024年10月1日 8時0分
VRゴーグルといえばMeta QuestやPlayStation VRが知名度が高いが、HTC Viveという老舗ブランドがある。同社は2016年のいわゆる「VR元年」から製品を投入しつづけている。近年では科学技術研究や、警察・軍隊の訓練などの産業向けシミュレーション用途で展開してきたが、ここにきて消費者向けにもアピールする製品を投入してきた。
【写真で見る】HTC NIPPONが発表した新しいXRヘッドセット「VIVE Focus Vision」
パソコンとの連携も強化した新VRヘッドセット
HTC NIPPONは、9月24日に新しいXRヘッドセット「VIVE Focus Vision」を発表した。VIVE Focus Visionは、スタンドアロン型の利便性を維持しつつ、高性能PCと接続して使用するPCVR機能も備えた“二刀流”の製品だ。
高解像度ディスプレイ、アイトラッキング機能、そしてPCとの有線接続による映像劣化の少ない出力など、ハイエンドな仕様を特徴としている。
価格は個人向け“コンシューマーエディション”が16万9000円、法人向け“ビジネスエディション”が21万4000円(いずれも税込)と、比較的高価格帯に設定されている。PC向けVRゲームを楽しむユーザーや、ビジネス用途での使用が主なターゲットだ。
HTC NIPPONのカントリーヘッドである小山 Max 直樹氏は、この新製品について「PCへの有線接続により、本来あるべき姿の映像を最高画質と最低遅延で楽しむことができる」と述べている。同時に、「ビジネスにとって理想のプラットフォーム」であるとも述べており、ビジネス市場とコンシューマ市場の両方でシェア拡大を狙う戦略が見てとれる。
VIVE Focus Visionの発表は、VR市場が成熟期に入り、セグメンテーションが進んでいることを示唆している。市場の大部分を占める手軽で比較的安価なモデルがある中、HTCは高性能・高品質路線で差別化を図り、プレミアムセグメントでの存在感を高めようとしている。
一方でVIVE Focus Visionの発表は、HTCの新たな戦略の一部にすぎない。同社は、この新製品を軸としつつ、独自の戦略を展開している。
急成長のVR市場で横ばいのHTC
IT専門調査会社IDC Japanの2023年国内AR/VRヘッドセット市場調査によると、VR市場全体は大きく成長を続けている。しかし、この成長の中でHTCのVRデバイスの出荷台数は横ばいの状態が続いている。市場シェアで見ると、Metaやソニーが上位を占める中、HTCはトップ5に入るものの、その差は大きい。
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