1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

東武博物館「スカイツリーライン高架下」の異空間 限られたスペースに展示車両がずらりと並ぶ

東洋経済オンライン / 2024年10月2日 7時0分

ぐるりと館内を歩いたつもりでも、東武博物館はまだまだ終わらない。外からはわかりにくいが、この博物館は2階建て。2階にも展示スペースが待っているのだ。

「2階ではやはりリアルタイムコーナー、ウォッチングプロムナードが人気です。ちょうどスカイツリーラインのレールのところに目線が来るようになっているので、行き交う列車を眺めることができます。特急はあっというまに通過してしまいますが、各駅停車はすぐ目の前に台車が来るのでおもしろいですよ。この角度から車両を見る機会って、なかなかないと思います」(山田館長)

また、2階にはもう1つ“東武博物館ならでは”の展示があるという。それは、「向島サテライト」。この一角は向島の歴史などに関する資料を展示している。向島といえば、永井荷風の『濹東綺譚』をはじめ、多くの文豪の作中にも登場した町だ。そうした歴史や地域の伝統工芸品などが「向島サテライト」の中に並んでいる。

資料が集まってくる

「こうした地域の資料もあわせて展示している鉄道系博物館はほかにはあまりないと思います。やっぱり東武はこの地域の中で育ってきた鉄道ですから、地域との関わりも大事にしていきたいです」(山田館長)

2階には、他にも東武鉄道の歴史を象徴するような記念物をまとめたコーナーなどがある。図書閲覧室には東武鉄道に関する資料はもちろん、他の鉄道会社の社史なども揃っている。

いまも東武鉄道から本社などで保管されていた資料が届くのだとか。

「昔の社員の方から古い写真をドサッと寄贈していただくこともあります。ただ、正直整理がまだまだ追いついていなくて……。写真ひとつとっても、いつどの場所で撮影されたものなのかを確認していく作業は大変です。今後はそうしたこともしていければと思っています」(山田学芸員)

もしかすると、どんどん増える資料の中にも、鉄道ファン垂涎の“お宝”が眠っているかもしれない。

と、一つひとつを細かく見ていくと、とうてい1時間やそこらでは終わらないくらいの充実した博物館。決して広いとはいえない高架下のスペースをうまく活用した保存車両の展示は神ワザといっていい。運転中の列車の台車が目の前を通るプロムナードも、いつまでも見ていられるほどだ。歴史資料だって、当時の息吹を感じられる貴重なものばかりだ……。

「実は東武博物館で保有している保存車両はこれだけではないんです。SL大樹で使っている蒸気機関車も、博物館で保有しているんです。2012年には8000系も1編成保有して、動態保存しています。8000系はいまも現役ではありますが、輸送力増強に貢献した車両で、いまにも通じる基本設計車両。その価値を考えて、博物館で保有して動態保存することにしました」(山田館長)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください