日本のEV市場が「失われた5年」になる強い懸念 欧州のEVシフトが減速する中で産業の変革を
東洋経済オンライン / 2024年10月3日 15時0分
ドイツのEV割合は、2023年の18.5%から2024年は12.5%へと下落した。これは、政府からの新車購入補助金の段階的な減額による影響が大きい。
一方、ノルウェーは、2023年の82.4%からさらに伸びて、2024年は85.6%に達した。有料道路や公営駐車場など、日常生活の中での「EV優先」の施策が奏功している。
アメリカについては、バイデン政権でのインフレ抑制法(IRA)に対して自動車メーカー各社が事業の適合化を急ぐと同時に、大統領選挙の結果次第で「自動車産業関連施策が大きく転換するリスクがある」との分析だ。
では、自動車産業界全体としての見方はどうか。
自動車メーカーの業界団体である日本自動車工業会(自工会)が9月19日に実施した定例会見の際、筆者は「EVシフトに対する認識と今後の方針」について聞いた。
自工会を代表して回答した、同副会長で本田技研工業・代表取締役の三部敏宏氏は、「乗用EV市場(の伸び)が鈍化している」と現状を表現。そのうえで、各国のEVに関する補助金の実施や内容の変更などによって、当面の間は「(EV需要の)浮き沈みがあるが、(市場全体としての)流れは変わらない」とした。
また、自工会としては「2050年(のカーボンニュートラル)を目指して、あらゆる技術によるマルチパスウェイで臨むスタンスは変わらない」とこれまでの基本方針の維持を明言した。
自工会では今、自工会そのものの改革と、自動車産業界の課題解決に向けた構造改革をともなう施策を推し進めているところだ。
「自動車産業のカタチ」はそれでいいのか?
そうした踏み込んだ議論を経たうえでの、国や地域における社会情勢を加味した「マルチパスウェイを主体とした方針は揺るがない」という自工会としての視点は、十分に理解できる。
しかし、その視点は「従来の自動車産業」のカタチから大きく変わらない。
“本格的なEVシフト”に必要なのは、新車というハードウェアの製造・販売・2次流通といった「EVありき」や「インフラの兼ね合いも重要」といった視点ではなく、「社会体系ありき」や「エネルギーの有効活用ありき」を起点とした「自動車からモビリティへ」という“産業構造の再定義”ではないだろうか。
自工会は、あくまでも製造者による業界団体であり、販売や修理などを担うディーラーをはじめとした“地域社会に直結する事業者”との意識上の距離が、まだ残っている印象がある。自動車メーカーの事業形態が「製造・卸売販売」に特化した、いわゆる「製販分離」だからだ。
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