日本のEV市場が「失われた5年」になる強い懸念 欧州のEVシフトが減速する中で産業の変革を
東洋経済オンライン / 2024年10月3日 15時0分
過去10年間を振り返ると、コネクテッド/自動運転/シェアリングなどの新サービス・電動化(CASE)や、モビリティ・アズ・ア・サービス(MaaS)といった、欧州発の新しい考え方が日本自動車産業界にも急激に広まった。
これを、一般的には「100年に一度の自動車産業変革」と呼んできた。
だが、EVシフトの浮き沈みで実証されたように、実際には欧米中の政治的な思惑とそれにまつわる投資が大きく影響している。日本自動車産業界は、それに翻弄されているような印象が強い。
また、社会変化に応じた「製販分離」を抜本的に見直すような具体的な動きも事実上、生まれていない。
そうした中、日本政府は自動車産業界と連携して「モビリティDX(デジタル・トランスフォーメーション)」という表現を使い、2030〜2035年に向けた日本の自動車/モビリティ産業の勝ち筋を模索している。
足元では、2024年10月15〜18日に幕張メッセで開催される「Japan Mobility Show Bizweek 2024」で、自動車産業界とベンチャー企業との化学反応を支援する舞台を準備している。
2020年代後半を「失われた5年間」にしないために
EVシフトは、単なる“クルマの電動化”ではなく、地域社会におけるユニバーサル・エネルギーである“電気を活用する社会変革”だと、筆者は認識している。
いま、EVシフトはたしかに踊り場であるが、ここから中・長期的な伸びが始まるという流れではない。社会変革をともなう急激な変化が、世界のどこかを起点に一気に始まるのではないだろうか。
2030〜2035年の勝ち筋という、自動車産業界と日本政府による市場の先読みは、結果的に童話「うさぎと亀」の「うさぎ」になりかねない。
2030年代に入って過去を振り返ったとき、2020年代半ばから後半を「失われた5年間」と称さないためにも、自動車産業界はモビリティ産業界に向けた思い切った意識改革が必要だ。
なお、自工会は10月2日、「令和7年度税制改正・予算要望の概要、及び自動車税制抜本見直しの改革案」を発表した。
この中で、車体課税については、所得時の課税は消費税に1本化。現在の環境性能割は、廃止を要望。保有時では、重量をベースに課税標準を統一。環境性能に応じた増減の仕組みでCO2削減を目指すとした。
EVの場合、航続距離を長くするには搭載する電池容量を増やす必要があり、車重が上がる。そのため、保有時での税金も上がる方向だが、その中でCO2削減への貢献度をどう描くのか。
また、今回の改革案に向けて、バリューチェーン全体としてのモビリティ産業への変革についても強調している。現在の「生産~新車売り切り型」という事業体系をメーカーとして考え直す準備が、税制の抜本見直しをトリガーとして加速しそうだ。
桃田 健史:ジャーナリスト
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
広州モーターショー開幕、「新エネ車」の最新事情や見所を“紙上公開”[新聞ウォッチ]
レスポンス / 2024年11月18日 8時45分
-
「ラグジュアリーアーバンSUV」2026年発表へ、ベントレーが描く2030年の姿とは
レスポンス / 2024年11月11日 10時0分
-
ついに「経済大国ドイツ」の空中分解がはじまった…EVシフトで大失敗「大失業時代」を招いたショルツ政権の誤算
プレジデントオンライン / 2024年11月5日 7時15分
-
日本勢は本当に苦戦している? トヨタ・ホンダ「新型車」続々投入!? 世界最大の市場で“1番売れている”意外な日本車は? 中国新車販売の現状はいかに
くるまのニュース / 2024年11月2日 20時10分
-
ホンダ、社長が初めて触れた「業界変革」の中身 「0テックミーティング」で見たホンダの行方
東洋経済オンライン / 2024年10月30日 8時20分
ランキング
-
1コンビニ大手3社の「肉まん」「高級豚まん」を実食。この冬に食べるべき“コスパ圧倒的”の肉まんは
日刊SPA! / 2024年11月24日 15時52分
-
2品川イオンスタイル「最強フードコート」の実態 太っ腹にも程がある?自由すぎる食のスポットだ
東洋経済オンライン / 2024年11月24日 12時0分
-
3とんでもない通帳残高に妻、絶句。家族のために生きてきた65歳元会社員が老後破産まっしぐら…遅くに授かった「ひとり娘」溺愛の果て
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月21日 8時45分
-
4小泉孝太郎がやっている「納豆の最高においしい食べ方」 タレ半分、“あるもの”をたっぷり
Sirabee / 2024年11月22日 16時15分
-
5【ワークマン】2900円の「あったか防水シューズ」を履いてみた 滑らない&水が入ってこない“おしゃれシューズ”
Fav-Log by ITmedia / 2024年11月21日 5時50分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください