ジョナサン跡地に出現「体験型イタリアン」の実力 すかいらーく新業態「ペルティカ」の実力やいかに
東洋経済オンライン / 2024年10月3日 10時0分
こちらを注文すると、まずバジルや松の実、オリーブオイルが入ったすり鉢が運ばれてくる。客が自らこのバジルを混ぜ合わせることで香りを楽しむという趣向だ。混ぜ終わったバジルは回収され、それがパスタになって戻ってくる。
女1人で訪れた筆者が黙々とバジルを混ぜる姿はシュールだったが、例えば子連れ客ならば「自分の混ぜたバジルがパスタになった!」と喜んでもらえそうだ。
このジェノベーゼを見て筆者が思い出したのは、明大前の人気イタリアン「スポルカチョーネ」。こちらもすりたてバジルのジェノベーゼが名物で、同様に客前でバジルを混ぜ合わせるパフォーマンスを行っており、希望すれば客が混ぜることもできる。おそらくこれをヒントにしたのではないだろうか。
また居酒屋チェーンの「串カツ田中」や「新時代」のポテトサラダも、ジャガイモやマヨネーズが入ったすり鉢が提供され、客自身が混ぜ合わせて楽しむ仕様になっている。
こうした人気店や居酒屋で行われる「体験型」のトレンドをリサーチし、ファミレスに落とし込んでいこうという開発担当者の意気込みを勝手ながら感じた。
「時間」を提供するサービスが競合?
「ペルティカ」の公式ホームページには「心も満たす2時間」という文言がある。これが示すように、同店が売っているのは料理や飲み物のような単なる「モノ」ではなく、ここで過ごす「時間」や「体験」のようだ。
この業態は、他の競合飲食店や内食、中食と胃袋の奪い合いをしているというよりは、その他の時間に対価を払うようなサービスを競合と意識しているのかもしれない。
実際に「ペルティカ」を訪れてみて、TSUTAYAの「SHARE LOUNGE(シェアラウンジ)」をベンチマークしているように感じた。「SHARE LOUNGE」はTSUTAYAがいま力を入れている事業で、時間制で利用できるカフェとコワーキングスペースの中間のような施設。急速に店舗数を拡大しており、現在は提携店を含め50店舗ほどを展開している。
自由に飲み食べできるドリンクやフードにかなり力を入れていて、「ペルティカ」の「インペリアルドリンクバー」は「SHARE LOUNGE」のドリンクコーナーを思い出した。
すかいらーくの店舗数の推移を見てみると、ファミレスの中で中価格帯の「ジョナサン」の店舗数が縮小傾向にある。
リーズナブルな価格帯の「サイゼリヤ」や同社の「ガスト」、また高価格帯の「ロイヤルホスト」が好調でファミレス業界では二極化が進む中、その間の価格帯にいる業態は変革が必要なのかもしれない。
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