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熟年離婚で陥る「老後破綻」の知られざるリスク 制度改正された「年金分割」にも注意が必要

東洋経済オンライン / 2024年10月4日 7時0分

写真はイメージです(撮影:今井康一)

ハワイで暮らしてみると、50代、60代(中には70代も)といったシニア世代の単身留学生に出会うことも少なくありません。「人生100年時代」、さすがだなあと思いながら、渡米された理由について聞いてみましたら、驚くべき答えが返ってきました。

「子育てもひと段落したので、これからは自分の時間を楽しみたくて……、実は夫から離れたかったんです。でも、離婚となると経済的に不安で……、それならいっそのことやりたかったことをやってみようと思って」

なるほど、シニア留学という名の別居(⁉)。これからはこの形も選択肢の1つになるのかもしれません。

知識と備えがないと慌てることにも

事実、長年連れ添ってきた夫婦が離婚を選択するケースは上昇の一途をたどっています。

厚生労働省「令和4年度 離婚に関する統計の概況」によりますと、同居期間20年以上の夫婦が離婚するいわゆる「熟年離婚」の離婚数全体に占める割合が、令和2年時点で21.5%と過去最高になったということです。

よく耳にするようになった「熟年離婚」というワード。すっかり認知されて久しいものの、経済的な観点からすると決して気軽なものではなく、むしろリスクのある行為であると言わざるを得ません。

大前提として、熟年離婚は老後が迫っていることから、経済力や貯蓄が十分でない状態のまま離婚をしてしまうと「老後破綻」を招くなど、かえって大変な老後になってしまう可能性が高いと心得ておくことが大切です。

そんなの知らなかった、あの時こうしておけばよかったと、後悔しないためにも、離婚を切り出す前に知っておきたいこと、中でも公的年金や保険に関する疑問についてよくあるご質問にお答えしたいと思います。

Q1:老後は年金が頼りですが、離婚しても夫の年金の半分はもらえるのでしょうか?

答えはNOです。熟年離婚が増えている背景の1つに、2007年の年金制度の改正によって、「年金分割」(離婚時に夫が積み立てた年金を分割すること)ができるようになったことが挙げられますが、実はこれには注意が必要です。

分割されない年金がある!

①そもそも年金は、会社員であれば、国民年金(基礎年金)と厚生年金の2階建てになっていますが、離婚した場合に「年金分割」の対象になるのは、厚生年金のみです。つまり、国民年金(基礎年金)は対象にはなっていません。

さらに、厚生年金のうち婚姻期間中に保険料を払った部分のみが分割の対象になるため、厚生年金ですら相手の年金を半分もらえるとは限らないのです。

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