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五感を刺激!「三鷹天命反転住宅」のスゴい内部 球体の部屋や砂浜の様な床。気になる間取りも

東洋経済オンライン / 2024年10月5日 8時0分

養老天命反転地は完成後大きな話題となったが、荒川さんとギンズさんはあることに気づく。それは「養老天命反転地が非日常の体験ができる場である一方で、日常を退屈なものだと感じさせる場にもなってしまう」ということだった。養老天命反転地もほかの遊園地も同じで、そこでの体験が楽しければ楽しいほど、家に帰ってきたときに日常との差を感じてしまう。

荒川さんとギンズさんは、家に帰ってからも楽しめる「日常空間をつくろう」と決意。それが住宅づくりのスタートだった。

三鷹の地を選んだ理由

ちなみに「三鷹」を選んだ理由はあるのだろうか。

土地探しのときからスタッフとして関わっていた松田さんは、「荒川とギンズは『日常空間に日常生活の場としてつくろう』とよく言っていて、ほどよい生活感があり、生活の場として認知されているエリアで探しました」と振り返る。

そこで予算などの条件に合ったのが三鷹市のこの地だった。松田さんは「なぜ、避暑地や別荘地など風光明媚な場所につくらなかったのか」と聞かれることもあったというが、日常生活が感じられる地域だからこそ、三鷹を選んだのだ。

三鷹天命反転住宅を建てるにあたって、荒川さんとギンズさんの世界観を、どのように実現したのか。

流れとしては、まず荒川さんとギンズさんが考えたイメージをもとに、荒川+ギンズのニューヨーク事務所の建築スタッフがデザインに起こして設計図を引いた。企画段階から安井建築設計事務所も関わり、法規制や構造に合わせた実施設計を行った。施工は竹中工務店が担当した。

基礎工事は2005年1月に始動。球体や四角いユニットは工場で制作され、現場で取り付け工事が行われた。突如出現した、球体や立方体、円形の筒が重なる巨大な物体に、現場も近隣の人も驚いたという。

「コンクリートの物体がドーンと建ったので、皆さんびっくりしたようです。建築の構造がお好きな方もたくさん見に来ていました」

建物に用いられているカラーは14色。パネルにペンキを塗り、屋外でも色の見え方の確認を重ねたという。

砂浜のような床が出来上がった背景

内部の工事では、荒川さんとギンズさんのイメージを形にするために、まず1つの住戸を試作室とし、トライアンドエラーを繰り返した。その後、ほかの部屋に応用していった。

ユニークなのは、先にも述べたうねる床のつくり方だ。図面で凸凹を表現することは難しい。部屋に実際の砂を敷き詰め、荒川さんの立ち会いのもと、左官職人と確認しながらつくっていった。

「荒川は“歩くことを意識する”というキーワードで、当初は大きなうねりのある形状を想像していたようです。しかし現場の職人さんから、足の裏で掴みやすい小さな凸凹はどうだろうと提案をもらいました。職人さんが自主的にコテもつくってくださり、凸凹の形を見せたところ、荒川は『面白い!ぜひやろう』と。このように仕上げに向けてのディテールは、1つひとつ現場で決めて進めました」

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