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「経営者が政治家になれない?」日本の大問題 経営者出身は学者や芸能人より少ない傾向に

東洋経済オンライン / 2024年10月5日 11時0分

ということで、「日本には日本のやり方がある」わけですが、個人的にはここで一件落着にしてほしくはありません。日本では、財界が政治家の供給源になっていないという実態があるからです。

アメリカでは、成功した経営者が政界に進出することが多く、財界が政治家の有力な供給源になっています。大統領に限っても、第31代ハーバート・フーバー(1929~1933)は鉱山会社、第39代ジミー・カーター(1977~1981)はピーナッツ農園、そして第45代ドナルド・トランプ(2017~2021)は不動産会社の経営で財を成しました。

一方、日本では、経営者から政界に転じて首相になったのは、田中土建工業の創業者・田中角栄くらいで、有力な経営者となると皆無です。政治家の供給源という点で、財界は、政治家2世や官僚はもちろん、学者や芸能人にも劣後しているという有様です。

もし松下幸之助が政界進出していたら

日本でも、過去に成功した経営者が政界に進出したり、進出を試みることが何度かありました。その中で、「もし政界に進出していたら、日本が大きく変わったのでは?」と個人的に思うのが、パナソニックの創業者・松下幸之助(1894~1989)です。

松下は、若い頃から国家とそれを導く政治に強い関心を持っていました。そして、国家にも企業経営の視点が必要で、政治も企業経営と同じように効率的に運営するべきだと考えました。

松下は、一時期真剣に政界進出を検討しました。しかし、結局、断念しました。家族から猛反対されたためだとも、松下自身が「俺は政治家に向いていない」と考えたためだとも言われますが、理由ははっきりしません。

政界進出を断念した松下は、代わりに政治を志す若者を育成することにしました。1979年、私費70億円を投じて松下政経塾を設立し、初代塾長として政治家などリーダーの育成に努めました。塾の設立には、松下の「真に国民のために働く政治家を育てたい」という願いがありました。

松下政経塾は、設立から45年経った今日も存続し、これまで野田佳彦氏(第1期)や高市早苗氏(第5期)を始め、多数の政治家を輩出しています。なので、松下の願いはかなり実現したわけです。

ただ、もし世界でも屈指の経営者だった松下自身が政界に進出していたら、経営者が政治家になるという大きな道筋を付けることができたでしょう。今とはまったく違う政治が行われたのではないか、と思わずにいられません。

日本人は経営者上がりの政治家を望んでいない

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