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「もう1食ほしい」が自衛隊で通用しない絶対理由 ドケチぶりにもほどがある自衛隊の給食不正

東洋経済オンライン / 2024年10月5日 9時0分

自衛隊員が不正に食事を取ったということで処分が続いている。国民には「せめて腹一杯」という同情が広がるが、自衛隊から見ると事情が違うようだ(写真・Bloomberg)

自衛隊で給食に関する処分が続いている。対象外の隊員が勝手に食事した、1食分を超える量を食べた話である。

その反応には官民で温度差がある。国民は「腹一杯に食べさせるべきだ」と不正を行った隊員に同情的である。対照的に自衛隊員の目は厳しい。処分されるのも当然と見ている。なぜ、自衛隊員は不正喫食に対して厳しい態度をとるのだろうか。

それは、実は擁護する余地もないからだ。第1には、さもしさしかない無銭飲食だからである。第2には、度を超したドケチだからである。第3は、注意してもぬかにくぎの常習犯だからだ。

「衣食住は全部タダ」ではない

自衛隊では3食支給なのだろうか。それは間違いである。無料の給食は基地の中で暮らす兵隊や若い下士官限定だ。過半数の隊員は自弁である。

士官と事務官、技官は食事は自分持ちである。無料給食はない。また基地の外での居住が許された上級下士官や、結婚した下士官と兵隊も無料給食の対象外だ。艦船乗り組みや学生入校中といった例外はあるが、基本はそうなっている。

これは住居も同じだ。基地の中に住んでいる未婚の兵隊と若手下士官だけが、無料にすぎない。それ以外、つまり基地の外に住むものは自分持ちになる。借家への家賃補助も、半額未満の金額が出るくらいである。

事情は違うが衣服も無料とは言いがたい。一応は官品の貸与支給があるが、品質から不人気だ。サイズが大雑把すぎるワイシャツ、向こうが透けて見えるほど薄い靴下、蒸れる革靴……。使わない、あるいは最初からもらわない例が多い。

中でも制服は顕著だ。士官は慣行で私物を着る。だから官品は肌にも当てない。下士官も偉くなると私物を作る。私物は着心地がよいだけではなく、洗濯機で洗えるうえにアイロンの掛かりもよい。お仕着せを着るのは兵隊や若手下士官だけだ。

よって、自衛隊員は必ずしも衣食住タダではない。無料となるのは、ほぼ兵隊と若手下士官だけである。

しかし、国民はそれを知らない。自衛隊も隊員を募集する際には「衣食住タダ」と宣伝している。だから自衛隊員は全員がタダと信じ込んでいる。

そのため不正喫食の人事処分を行うと、国民は誤解する。処分された隊員は、無料給食の対象者ではない。さらに、食数不正も無料給食の隊員がやったことではない。ましてや、若手隊員が空腹に耐えかねて2食分や3食分を食べたわけでもない。

ただ、それを国民の大多数は知らないので、そうした自衛隊員に同情するのだ。対して、自衛隊員は本当のことを知っている。だから人事処分は当然とみなすのだ。

無銭飲食だから処分は当然

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