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日立、国際鉄道見本市に「10年前の車両」なぜ出展? イタリア鉄道の高速列車、何が変わったのか

東洋経済オンライン / 2024年10月5日 7時0分

日立が「イノトランス2024」に出展した高速列車「フレッチャロッサ・ミッレ」の前であいさつするイタリア鉄道旅客部門(トレニタリア)CEOのルイージ・コッラーディ氏(撮影:橋爪智之)

世界最大の鉄道総合見本市「イノトランス」。鉄道メーカーにとって、2年に1回行われるこの見本市は、全世界の人に自社の最新製品をお披露目する絶好の機会となる。そして会場で最も注目を集める花形は、やはり鉄道の主役たる車両である。

【写真を見る】日立が鉄道総合見本市「イノトランス」に展示した高速列車「フレッチャロッサ・ミッレ」。真っ赤な外観やイタリアンデザインの内装、従来車と違うのはどこ?

ヨーロッパの鉄道市場へ進出し、これまで多くの実績を残してきた日立製作所および日立レールも、9月に開催された「イノトランス2024」に車両を持ち込んだ。

「フレッチャロッサ・ミッレ(1000)」――2015年にデビューしたこの車両は、今やイタリアを代表する高速列車の主力となり、フランスやスペインにも活躍の場を広げている。しかしデビューからすでに9年、開発を始めた2010年からは15年を迎えようとしている。

なぜ、開発から10年以上経過した車両を今さら展示会場へ持ち込んだのだろうか。

2015年デビューの高速列車

理由を語る前に、まずフレッチャロッサ・ミッレについて簡単におさらいをしておこう。この車両の開発が始まったのは2010年。1990年代から運行している初代「フレッチャロッサ」ETR500型の後継車両としてイタリア鉄道が入札を行い、選ばれたのはボンバルディアとアンサルドブレダ(いずれも当時)の連合チームだった。

【写真】日立が2024年の「イノトランス」に展示した高速列車「フレッチャロッサ・ミッレ」。真っ赤な外観やイタリアンデザインの内装、従来車と違うのはどこ?

鉄道部門本社をドイツに構えていたボンバルディアは、欧州向け高速列車プラットフォーム「ゼフィーロ300」をこの新しい高速列車に採用、車体デザインを含めた製造をイタリアの老舗アンサルドブレダが担う「独伊連合」で、この入札を勝ち取った。

ところが間もなく、アンサルドブレダの親会社フィンメカニカは、鉄道部門の業績悪化で同社の売却を決定。数社による競合の末、売却先に選ばれたのは日立だった。アンサルドブレダは日立レールとして再出発することになり、新型車のプロジェクトは「ボンバルディア+日立」という形に変わったのだ。

紆余曲折あったものの、2015年にデビューしたフレッチャロッサ・ミッレは当時の最新技術を詰め込み、カーデザインで知られるベルトーネによる車体デザインも相まって大好評となった。今ではイタリア都市間輸送に欠かせない存在となり、2021年にはフランス、2022年にはスペインへと運行網が拡大し、そのたびに追加発注されている。

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