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ハマス・イスラエル戦争から1年・中東情勢の行方 人質解放、ヒズボラ攻撃、イラン報復…戦局は多方面へ

東洋経済オンライン / 2024年10月5日 9時0分

9月17日、ヒズボラメンバーの所持するポケットベルが一斉に爆発。少なくとも34人が死亡、約4000人が負傷した。翌日には同じくヒズボラメンバーの所持するトランシーバーが爆発し、少なくとも25人が死亡、600人以上が負傷した。

ヒズボラやレバノン政府などはイスラエルのテロとして非難したが、イスラエルは公式にコメントしていない。

9月27日、IDFはベイルート南部のダヒヤ地区にあるヒズボラの中央本部を空爆。これにより、ヒズボラの最高指導者ハッサン・ナスララが死亡した。

9月30日、IDFはレバノン南部で地上作戦を開始。イスラエル国境沿いの村々に点在するヒズボラの拠点を叩くのが目的である。そして翌10月1日、イランはイスラエルへの直接攻撃に出た。

イランの攻撃に対してイスラエルのネタニヤフ首相は、「イランは大きな過ちを犯した。代償を払うことになる」と報復を宣言している。イスラエルは必ずイランを攻撃すると見られるが、当然のことながら規模や時期は不明である。

イランの核施設をターゲットにするとの意見もあるが、恐らくそれはないだろう。全面戦争に発展する可能性が一気に高まるからである。

イスラエルはどの方面とも全面戦争を望んではいない。「鉄の剣」と命名されたこの度の戦争の目的は、拉致された人々の奪還、ハマスの壊滅、そしてテロ脅威の排除である。

ここで見落としてならないのは、10月1日、イランからの攻撃とほぼ同じタイミングで、テルアビブのヤッフォで銃撃・刺殺テロが発生したことである。2人のテロリストが7人を殺害、17人を負傷させた。

10月3日、ハマスとカッサム旅団が、イランの攻撃に合わせた襲撃だったと声明を発表した。

西岸地区でも見られるテロ集団の動き

イランの支援を得て、ガザ地区のハマスだけではなく、西岸地区でもテロ集団が蠢(うごめ)き出している。中東報道研究機関MEMRIは8月中旬、次のような記事を掲載した。

この2年間、西岸地区北部を発端とするテロの脅威は着実に増大している。ハマス、イスラム聖戦、ファタハの軍事部門アルアクサ殉教者旅団が、西岸地区北部で、それぞれ陣地構築を進めるとともに、協力体制を固めつつある。これにより、パレスチナ自治政府(PA)はこの地域における統制力を失い、統治体制が崩れつつある。武装テロ集団はイランの支援を受けてインフラ作りを進めつつあり、2023年10月7日にイスラエル南部でハマスが行った攻撃と同様の攻撃を実行する意思さえ表明している。(MEMRI Special Dispatch No.11507)

イスラエルでは10月3日、ユダヤ暦5785年の新年を迎えた。10月12日は最も神聖なヨムキプール(贖罪日)、10月17~23日はスコット(仮庵祭)、そして10月24日にはシムハット・トーラー(モーセ五書を1年かけて読み終わる喜びの祭り)と祭日が続く。

2023年10月7日、ハマスのテロ攻撃があったのはこのシムハット・トーラーの祭日だった(ユダヤ暦は太陰太陽暦なので、西暦とのズレが生じる)。

筆者は10月のお祭り期間に惨事が起きないことを祈っている。イランを筆頭に、自ら「抵抗の枢軸」と名乗るレバノンのヒズボラ、イエメンのフーシ派、そしてガザ地区のハマスに加えて西岸地区のあらゆるテロ組織と、イスラエルは何正面もの対テロ戦争を強いられている。圧倒的な軍事力を誇るイランやヒズボラだけではなく、西岸の動きにも要注意である。

谷内 意咲:ミルトス代表

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