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ノーベル賞の候補に?「やせ薬」開発者3人の功績 発表は7日、前哨戦とされる「ラスカー賞」を受賞

東洋経済オンライン / 2024年10月6日 9時0分

ノーベル生理学・医学賞の最有力候補の功績、そしてなぜ彼らが候補なのかを紐解きます(写真:240pikaru/PIXTA)

9月19日、ノーベル賞の前哨戦とされるラスカー賞の選考結果が発表された。臨床医学部門で受賞したのは、肥満症の治療薬のGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)受容体作動薬の開発に従事した3人だ。

【写真で見る】2023年の生理学・医学賞はmRNAワクチンの開発に貢献した、この2人だった

アメリカのマサチューセッツ総合病院、ハーバード大学のジョエル・ハベナー教授、ロックフェラー大学のスベトラナ・モイソフ准教授、そしてデンマークの製薬企業ノボ・ノルディスク社のロッテ・ビエレ・クヌーセン氏である。

本稿では、その背景について解説したい。

GLP-1受容体作動薬とは?

まずは、GLP-1受容体作動薬がどういうものか説明しよう。

GLP-1は食事を摂ると腸から分泌されるホルモンで、血糖値の調整や食欲の抑制で重要な役割を果たしている。

血糖値が上がると膵臓のβ細胞に働きかけて、インスリンの分泌を促進して血糖値を下げたり、血糖値を上げるホルモンであるグルカゴンの分泌を抑制したりする。このため、GLP-1は発見当初から、糖尿病の治療薬候補として注目されていた。

これ以外の役割としては、胃の内容物の排出を遅らせて満腹感を持続させる、中枢神経に働きかけて食欲を減退させる、といったものがある。これらのことから、GLP-1は「やせ薬」としても注目されてきた。

ハベナー氏は内分泌学を専門とする医師で、1980年代にGLP-1を発見した。GLP-1やGLP-2など、血糖のコントロールにつながるインクレチン(消化管ホルモン)の役割を解明したことで、世界から高く評価された。

同氏はラスカー賞の受賞のほかにも、2020年にはアメリカ科学アカデミーに選出され、2021年にはカナダのガードナー国際賞を受賞していた。ラスカー賞受賞で、10月7日に発表されるノーベル生理学・医学賞の有力候補となったと考える専門家が多い。

GLP-1研究を実質的に牽引した女性

モイソフ氏の経歴はハベナー氏とは対照的だ。

彼女は旧ユーゴスラビア生まれの生化学者だ。地元で物理化学の学士号を取得後、1972年にロックフェラー大学に入学し、ペプチド合成を研究した。その後、マサチューセッツ総合病院に移籍し、ハベナー氏と共同研究を始める。

GLP-1のアミノ酸配列を特定し、GLP-1がラットの膵臓からインスリン分泌をうながすことを実証したのは、彼女だ。GLP-1研究を実質的に牽引したといっていい。

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