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"56のサッカーチーム巡る"自閉症の子と父の挑戦 ドイツでヒット『ぼくとパパ、約束の週末』

東洋経済オンライン / 2024年10月7日 13時30分

『ぼくとパパ、約束の週末』は11月15日より新宿ピカデリー、角川シネマ有楽町ほかにて全国公開 (東洋経済オンライン読者向けプレミアム試写会への応募はこちら)©2023 WIEDEMANN & BERG FILM GMBH / SEVENPICTURES FILM GMBH

幼い頃に自閉症と診断され、周囲と馴染めずにいた少年がある日、ドイツにある56のサッカーチーム、すべてのスタジアムを見てまわって“推しのチーム”を選びたい、と言い始めた。

【写真】ドイツでヒット『ぼくとパパ、約束の週末』の場面カット

これまで息子の世話をママに頼りきっていたパパは、これを機に息子の願いに向き合うことを決意する。それは息子にとっても、パパにとっても新たな扉を開く旅路のはじまりだった――。

親子の実話をもとにした作品

親子の実話をもとにしたハートフルなドラマが話題を集め、昨年のドイツで100万人を突破する動員を記録した『ぼくとパパ、約束の週末』が11月15日より新宿ピカデリー、角川シネマ有楽町ほかにて全国公開される。メガホンをとったのは、『白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々』で第55回ベルリン国際映画祭の銀熊賞を受賞した名匠マルク・ローテムント監督である。

一般的に自閉症の主な特徴として、特定のものごとに対して、自分が決めたルールをかたくなに守ろうとすること、ものごとに対しての好き嫌いがハッキリしていて、強いこだわりを示すことだと言われている。

また他人とのコミュニケーションが得意ではないため、対人関係に支障をきたすことも多い。その特性を知らない人から見ると、単にワガママで駄々をこねているだけだと思われがちで、親などに向かって「なんでしっかりとしつけないんだ」といった目を向けられることもしばしばだという。

本作主人公のジェイソンにもやはり彼独自のルーティンとルールがあり、それらが守られないとパニックを起こしてしまう。また他者に触れられることも極端に嫌がる。

その状態のことをジェイソンは「頭の中の戦争」と表現していたが、自分のルールから外れた、予想外のことに直面すると、頭の中にたくさんの考えが浮かんではそれが衝突し合い、強い負荷がかかり、パニック状態に陥るのだという。

それゆえ学校でも、自分のこだわりやルールから外れたことに対しては、思ったことをすぐに口に出してしまい、学校の先生であろうと、友だちであろうと構わず傷つけてしまう。そんなトラブル続きのジェイソンに対して、学校側からは特殊学級への編入を勧められるも、ジェイソンはそれを頑なに拒否するのだった。

そんなジェイソンに対して偏見や、無理解の目が向けられるたびに、ママのファティメは矢面に立って、彼を守るために神経をすり減らす日々だったが、出張続きだったパパのミルコは「お金を稼ぐのは自分、家庭を守るのは妻」といった考えのもと、ジェイソンの世話をママに任せっきりだった。

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