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"56のサッカーチーム巡る"自閉症の子と父の挑戦 ドイツでヒット『ぼくとパパ、約束の週末』

東洋経済オンライン / 2024年10月7日 13時30分

そんなある日のこと。クラスメイトから好きなサッカーチームを聞かれたのに答えることができなかったジェイソンは、自分もサッカーチームを応援してみたいと思い立つ。

そして肝心の“お気に入りのチーム”については、実際に自分でスタジアムに足を運び、自分の目で数々のチェックポイントを確かめたうえで、どこにするのか見極めたいというのだ。

それも他人からの受け売りで決めるのではなく、テレビ観戦だけで決めることもしない。「サッカーのスタジアムに連れていく代わりに、もう友だちや先生を傷つけない?」というパパの問いかけに、「いいよ」とジェイソン。そこに息子の変化を感じ取ったパパは、多忙な仕事のスケジュールを調整して、毎週末に行われるサッカーの試合に連れていくことを約束する。

やると決めたらとことんまで、というのがジェイソン流。彼の“推し候補”となるのは1部リーグだけでなく、2部リーグ、3部リーグなどの下部組織も含めた56チーム全部。軽い気持ちで約束したものの、その数字を聞いてややひるんでしまったミルコだったが、とはいえもう後には引けない。

それではその中から何を基準に、ひとつの“推しチーム”を選び出すのか。彼が打ち出したルールは以下の8個となる。

・何があっても最後まで観戦する
・サポーターの席に座る
・選手は地味なシューズであること
・スタジアムの広告が控え目であること
・ネオナチのサポーターは禁止
・残念なマスコットキャラを有するチームは禁止
・環境や持続可能性を重視していること
・選手が円陣を組まないこと

かくしてパパとジェイソンの“週末の旅”がはじまった。だか観客が熱狂状態にあり、サポーター同士の距離が近いサッカースタジアム内では何が起こるか分からず、時にパニックを起こしそうになることもある。

それは彼にとっても簡単なことではなかったが、それ以上にサッカーの“予測不可能”なところや、サポーターのふるまいなども、彼にとっては新鮮な驚きであった。

そうやって毎週末ごとに息子と寄り添うことであらためてママの大変さを実感し、意識が変わっていくミルコ。果たしてジェイソンは“推しのチーム”を見つけられるのだろうか——。

空港で手に取った一冊の書籍から着想

本作の企画は、本作脚本家のRichard Kropfが空港で手に取った一冊の書籍から始まった。それはジェイソンたちが自閉症への理解を深めるために書き記した書籍であったが、これはまさに映画の題材にふさわしいと感じた彼は、すぐにジェイソンたちに連絡をとり、映画化にこぎ着けた。

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