「パレスチナ紛争」前に取られた"ユダヤ人の奇策" 混沌化する「中東情勢」、問題の源流を読み解く
東洋経済オンライン / 2024年10月7日 20時0分
全能力をあげて機械を復原したスラヴィーヌは、こんどはそれらを、最後のねじ釘、最後のボルトにいたるまで分解した。仕事をおわったときには、約7万5000点の部品が彼の指ではずされた勘定になる。彼は各部品について、自分で工夫した暗号による目録をつくった。
次に中身を偽造して、荷物が目的地に到着してイギリスの検閲をうけたさい「織物機械」という記載に合致して見えるように包装した。何百トンもの資材の輸入だが、スラヴィーヌは織物の機械35トンの輸入についてのささやかな公的許可を、空想上のアラブ人企業家の名義でもっていただけだった。
すべての部分品が巧妙に贋の名をあたえられ、ごちゃまぜにされていたから、どんな天才的な工学者もその真の性質を見抜くことはできなかったろう。そのうえ検閲はふんだんな賄賂のおかげで、大目に見ることが確約されていたから、どの箱も困難なしにイギリスの税関をとおることができたのである。
国際連合がユダヤ人のパレスチナ創設の決定を行なったその夜、これらの箱はすでに目的地に到着していた。ずっとまえからキブーツに秘匿され、開かれてその富をひきわたす日を待っていたのである。しかし安全を考えてハガナの指導者たちは、最後の英兵が撤退するまではその匿し場に眠らせておくことに決めていた。
ボルトも座金も失われなかった
ダヴィド・ベン・グリオンがエフド・アヴリエルをヨオロッパに送ったのは、その中間期においてユダヤ人が絶望的に必要とするはずの武器、弾薬を、見つけ出すためである。
最後の機械が復原され据えつけられたとき、ハイーム・スラヴィーヌは歴史上もっとも難解な工学のパズルを首尾よく解いたことを、誇ってよかったろう。
黒人街からイスラエルのキブーツに送られた7万5000点の部品のうち、1つのボルトも、1つの座金も失われてはいなかった。
ラリー・コリンズ:ジャーナリスト
ドミニク・ラピエール:ジャーナリスト
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