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イスラエルの「最も危険な男」を誰が止めるのか 見捨てられないアメリカを無視するネタニヤフ首相

東洋経済オンライン / 2024年10月7日 20時0分

イスラエルのネタニヤフ首相は国連総会で、イランなどを「CURSE(呪い)」と示した地図を掲げた(写真:Bloomberg)

パレスチナのガザ地区に始まり、イスラエル北部からレバノン南部でのヒズボラ、さらにはイランへと、イスラエルの戦線は日ごとに拡大し続けている。

1年前、ハマスの急襲攻撃で多数の死者と人質を出し失脚の瀬戸際に立たされたイスラエルのネタニヤフ首相は見事に復活し、今や向かうところ敵なしの状況だ。

ガザでのハマスとの戦いでイスラエルは大量の地上軍を投入し、4万人以上のパレスチナ人の命を奪うとともにハマスを壊滅状態に追い込んだ。北の敵であるヒズボラに対しては、彼らが使用するポケベルを一斉に爆破するという奇策に続き、最高指導者のナスララ師をはじめほとんどの幹部の殺害にも成功した。

現在はレバノンへの地上侵攻と首都ベイルートなどへの激しい空爆を続けるなど「第2のガザ」を目指している。

戦線拡大を続ける思惑とは

こうした状況を前に、ハマスやヒズボラを裏で操っているイランがついにイスラエルに対するミサイル攻撃に踏み切った。イラン攻撃の口実を求めていたネタニヤフ首相にしてみれば、まさに思うつぼである。ハマス、ヒズボラ、イランという敵対勢力との戦いは、これまでのところネタニヤフ首相の思惑通り進んでいるようだ。

もちろんアメリカなどはイスラエルに対し停戦合意の働きかけを繰り返したが、ネタニヤフ首相はまったく聞く耳を持たなかった。

彼が戦線を拡大し続ける意図はなにか。8月のアメリカの雑誌『TIMES』 のインタビューでその一端が語られている。

まずイスラエルが置かれている今の状況についてネタニヤフ首相は、「ハマス、フーシ派、ヒズボラ、シリアとイラクのシーア派民兵を含む、より広範なイランのテロ枢軸に直面している」と語り、それらの脅威を取り除かなければならないと強調している。

また、イスラエルがかつて合意したパレスチナ国家との共存を目的とする「二国家解決案」については、「パレスチナ人がすべての権限を持つパレスチナ国家が仮に誕生しても、軍事面はイスラエルが実権を握る不完全国家しか認めるつもりはない」として、パレスチナ国家が誕生してもイスラエルによる軍事的支配は続けるとしている。

その理由は、「パレスチナの地から軍事的権限を放棄すれば、イランの代理組織が直ちに入ってきて、ハマスの奇襲のようなことが繰り返されるからだ」としている。

「二国家解決案」を否定し、軍事手段のみ

つまりネタニヤフ首相は、パレスチナ問題の最終的解決策として世界が期待している「二国家解決案」は、イランが影響力を持つ勢力が新たに生まれイスラエルを攻撃してくるため認めないというのである。そればかりかイスラエルの平和を実現するためには、イランの息のかかったすべての勢力を軍事的に倒すしかないと考えているのだ。

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