帝国ホテルがコロナ禍に見せた従業員への気遣い 「日本三大ホテル」それぞれの歴史と魅力を探る
東洋経済オンライン / 2024年10月8日 16時0分
彼の代表作としては、螺旋状の展示空間を持つグッゲンハイム美術館が有名で、ニューヨークのランドマークの1つになっています。日本との関わりも深く、帝国ホテル2代目本館「ライト館」のほかにも、自由学園明日館など、日本国内にいくつかの作品を残しています。
また、帝国ホテルの最近のユニークな試みに、「食」の領域におけるSDGsへの取り組みがあります。
帝国ホテル第14代東京料理長を務める杉本雄氏が、2021年から「食のサステナビリティフォーラム」を開催しています。
第1回のテーマは「ラグジュアリー×サステナビリティ」。「食材の恵みを最大限に活かし、無駄なく使いきる」というフランス料理の精神をもとに、帝国ホテル 東京の食への取り組みを紹介しました。
「耳まで白くて新食感」の食パン
第2回のテーマは「おいしく社会を変える」で、帝国ホテルで実際に行われた事例を取り上げています。
例えば、帝国ホテル東京はこれまで、サンドイッチを作る際に切り落としたパンの耳を、具材が付着して別の料理への利用が難しいといった理由で、年間で2.5トン捨てていました。その食品ロスの状況を改善するために、「耳まで白くて新食感」のサンドイッチ用食パンを開発したのです。
2002年10月からホテルショップ「ガルガンチュワ」で販売を始め、今ではレストランで提供するサンドイッチにこの食パンを使用しています。これ以外にも、食品ロスへの取り組みとして、さまざまな商品が誕生しています。
このほかにも、帝国ホテル東京には多くの逸話があります。
コロナ禍では非常事態宣言が発令され、ホテルは営業縮小、従業員の自宅待機を余儀なくされました。
そんななか、社長である定保英弥氏は、従業員に向けて励ましのメールを送りました。それとともに、「いずれお客様がお戻りになるとき、どのようなサービスでお迎えすればよいのか?」とアイデアを募ったところ、約2500人の社員から5500もの提案があったのです。
定保社長は営業再開準備委員会を立ち上げ、すべてのアイデアに目を通し、1つひとつ実現していきました。
そのなかには、ホテル業界に衝撃を与えたサービスアパートメント事業や、帝国ホテル初の直営日本料理レストランにつながるアイデアなどもあったそうです。
② ホテルニューオータニ
1964年、東京オリンピック開催に合わせて開業したのがホテルニューオータニです。
オリンピック開催を間近に控えた東京では、世界中から訪れる観光客のためのホテル不足が大きな課題となっていました。そこで、時の東京都知事が国際級ホテル建設にふさわしい候補地として白羽の矢を立てたのが、千代田区の紀尾井町にあった大谷米太郎氏の私有地でした。
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