ベトナムで「なぜか公認会計士」52歳日本人の覚悟 日系企業が続々躍進「加速経済ベトナム」の魅力
東洋経済オンライン / 2024年10月8日 12時30分
堅実な成長性も大きな魅力です。
コロナ禍の影響(入国規制、行動規制)は甚大だったものの、2020年、2021年もプラス成長(2.9%、2.6%)を遂げ、世界的な物価高が問題視される昨今も、2045~2050年に先進国入りという政府目標の下、6~8%成長を遂げています。
日本をはじめ、多くの国がマイナス成長に陥った時期にこれだけの成長を遂げられたのはベトナム政府の対応、そしてその堅実な成長性によるところが大きかったと思います。
私がベトナムを初めて訪れたのは1993年、当時のベトナムの人口は7118万人、1人当たりの名目GDPは185ドルという状況でした。
数字を見ても明らかなように、当時のベトナムには経済的な豊かさはなく、富裕層もほとんどいませんでした。道路の舗装状況も悪く、街中は常に砂埃で覆われているような状態でした。
こうした状況だったにもかかわらず、私がベトナムに注目し、自らアーサーアンダーセンベトナム(現・KPMGベトナム)に駐在し、すぐさまベトナムで日本人初のベトナム公認会計士資格を取得し、現地で日系初の会計系コンサルティングファームを立ち上げたのはなぜか。
それはひとえにベトナムの活気と勢いを肌で感じ、惹きつけられたからです。とりわけバブルが崩壊し、失われた30年に突入しはじめていた当時の日本と比すると、当時のベトナムの勢いには眩しさが感じられるほどでした。
経済成長が進み、今やベトナムの人口は直近の報道(2024年)では1億人に達し、1人当たりの名目GDPは4284ドル(2023年)に達しています。日本の1人当たり名目GDPが目減りしてしまっているのに比べ、ベトナムはこの30年で23倍も伸びていることになります。
では、長期的にはどうなるのでしょうか。政府目標としては2030年までは7%成長、2030~2050年も6.5~7.5%成長を果たしていくとしています。それにより、2025年までに下位中所得国を脱し、2030年までに上位中所得国、そして2045~2050年には先進国(高所得国)入りを果たすことを目標に据えています。
10年間、7%成長を続けると、複利効果で経済規模は2倍になります。すでに相当の経済規模になっているベトナムですが、あと10年で2倍、そして20年後には4倍、30年後には8倍になるというわけですから、1人当たり名目GDPも2050年には今の日本とほぼ同じ3万2000ドルを超える水準になりそうです。
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