石破茂が語り尽くす「地方を活性化する鉄道政策」 鉄オタでなく政治視点、過去インタビュー再録
東洋経済オンライン / 2024年10月8日 7時0分
政界きっての論客は鉄道通でもある。10月1日に首相の座に就いた石破茂氏。メディアでは「鉄オタ」ぶりを披露することは多いが、この国の鉄道事業について正面から語ることは少なかった。石破氏の「鉄道論」は実に示唆に富んでいる。週刊東洋経済2018年2月5日臨時増刊『鉄道サバイバル』に掲載した同氏へのインタビュー記事を再録する。
鉄道ではなく地域の「損益」を測る指標を
――今回は本格的な鉄道論を語ってもらいたいのです。
そんな……。趣味の領域から出ないよ。高度な話を期待されても全然ダメだからね、ハハハハ。まあ、どうぞ。
――今後、人口減少の影響で存続が危ぶまれる路線が増えるかもしれません。
同じ公共インフラでいえば、自動車の場合はインフラは税金で整備をしていく。事業者は車やバスを走らせてればよいと。道路まで含めて「きちんと採算を取れ」などという発想はないよね。儲からないから高速道路廃止という話は聞いたことがない。
それなのに、なぜ鉄道の場合は、「儲からないとやめる」になっちゃうのかな。同じ公共交通インフラで均衡を失してはいませんか?
そういう根源的な問題がまず存在する。上下分離でインフラの部分は全部税金でみて、その上の部分、運行する部分だけを民間事業者でみればよいのではないか。こういう発想はこの国にはなかった。
赤字でもよいのかという議論だけれど、その鉄道単体で赤字か黒字かという話よりも、それを使った場合、そこの沿線の地域が全体で黒なのかい、赤なのかい?という見方が大事でしょう。そういう指標があんまりないよね。
乗って来たくなる地域を作るのが地元の仕事
北海道に行くと、「鉄道どうするの?」「宗谷本線を廃止するなんてとんでもない」っていう話があるわけ。国鉄からJR北海道に移行したときに基金を運用して赤字を補填しなさいということだったんだけど、今は金利水準がゼロになった。「JR北海道、頑張りなさい」っていうのは、それはちょっと酷じゃないのではとは思う。
当然、事業者も地元も利用客を増やす知恵みたいなものを総動員しないといけないよ。いすみ鉄道の鳥塚亮社長(当時)は「乗って残そう、何とか線、なんぞもってのほかだ」と。そんなことを言って残った鉄道なんか一つもないから。「乗りたくなる鉄道、乗って来たくなる地域を作るのが地元の仕事」だと話している。私もそう思う。
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