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石破茂が語り尽くす「地方を活性化する鉄道政策」 鉄オタでなく政治視点、過去インタビュー再録

東洋経済オンライン / 2024年10月8日 7時0分

JR九州の「ななつ星」は、それ自体はたぶん赤字でしょ。でも、宣伝効果たるやすごい。唐池(恒二)さんの執念を感じる。世界一の列車、サービス、九州一おいしい米、肉、魚……。ゆっくり走って、大村湾の夕日を見るとかね。「今だけ、ここだけ、あなただけ」っていうサービスを目いっぱい詰め込んでいるじゃない。こういうネタは日本国中にあるんだよ。

――新幹線建設については各地で期待があるようです。

私たちは山陰新幹線の立場。山陰の日本海側って、新幹線もつながっていないし、高速道路もつながっていない。昨年の衆議院選挙の応援演説は、まず新潟1区、次の日が秋田1区っていう日程だったんだけれど、どうみても、1回東京に戻るほうが早いんだ。間に山形を挟むだけなのに……。

私の鳥取1区から竹下(亘)さんの島根2区に行くのは、隣の県なのに、どう考えても1回羽田空港に出たほうが早い。上越新幹線と北陸新幹線はうまくつながってないし、在来線も減っている。やっぱり青森から下関までつなぐ新幹線って必要なんだよね。

山形新幹線や秋田新幹線を作るのに大変な努力があったことも知っているが、やっぱり在来線軌道を走る新幹線には限界があるよ。1時間に何本も走る線ではないと思う。単線の新幹線っていうのは考えられるのかな? それだと建設費はいくら下がるのか。燃料電池による新幹線だとどうなのか。フルスペックの新幹線は財政的に無理でも、うまくコストが下がる方策があればいい。

鉄道の特性である定時性、環境に対する負荷の少なさ、大量輸送能力というのは、日本人があまねく享受すべきものだ。一生懸命に努力して頑張ろうと思っても、交通インフラがあまりに脆弱だと、力を最大限引き出せない。

中央一極集中にはそれなりの意味があった。中央において、極限まで生産性を上げて、公共事業と企業誘致で地方に雇用と所得をもたらすという形で国家は運営されていた。「地方はそんな頑張らなくてもいいよ」っていう。

でも、昭和40年代や50年代と同じように公共事業をやる財政余力はない。地方の工場が同じものを大量生産するというビジネスモデルはもうありえない。地方のポテンシャルを最大限に引き出すためには、交通インフラが必要で、それってどんな形がいいんだろうなといつも考えている。

地方をつなぐ高速交通があってもいい

―――都市と地方だけでなく、地方同士をつなぐ高速交通があってもいいのでしょうか。

いいでしょうね。何でもかんでも東京や大阪に向かわなければならないというものではない。昔は米子発名古屋行きという、とんでもない路線を走るディーゼル急行があった。インバウンドの人たちも有名な観光地は見飽きちゃうでしょ。本当の日本のすばらしさ、原風景は地方にこそ、あるんだよ。

昔は地方出張したときに夜行列車で帰るのが楽しみだった。特に秋田から寝台特急「あけぼの」に乗って、上野へ帰って来るっていうのが大好きだったけど、今は夜行バスに取って代わられた。オール・オア・ナッシングではなくて、輸送手段それぞれの特性をうまく生かすことができたらいいよね。

堀川 美行:東洋経済 記者

小佐野 景寿:東洋経済 記者

大坂 直樹:東洋経済 記者

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