「こんな上司がいたら、会社辞められないですよ」 離職の「原因」となる上司、「抑止力」となる上司
東洋経済オンライン / 2024年10月8日 9時30分
それで社長に言われたとおり、周りと比べず、昨日よりも少しでも成長できるように日々の仕事に向き合いました。
それで半年くらいしてから社長がまた声をかけてくれたんです。『どうだ。前の自分より成長してるか?』って。それで私がどう成長したかを説明したら、『いいじゃないか! それでいいんだ! これからもそうやって頑張れよ』って喜んでくれました。
もう嬉しくて、その日の帰り道に涙が出ました。そして社長が自分の成長を喜んでくれた、こんな自分のことを社長はちゃんと見ててくれている、この人に一生ついて行こうと思いました。そうやって昨日の自分より成長しようってコツコツ頑張って、いまは役員にまでなれましたよ」
この社長は落ちこぼれの若手がいると聞いて、寂しい思いをしていないかと気遣ったのでしょう。
そして昨日の自分より成長することを促し、次の機会にまた声をかけ、成長の跡を褒めたのです。
こういった関わりによって、「社長は自分のことをちゃんと見ててくれている」と感じ、それが「この人に一生ついて行こう」と思わせるほどの力を持ったわけです。
また、ある会社で定年まで勤め上げた方が、本当は独立するつもりだったが、結局会社を辞めることができなかったと話してくださいました。
その理由を聞くとこう話されました。
「私は上司に本当に世話になりましてね。彼は私が1つの仕事をやり終えると必ず私に声をかけてくるんです。『今回はどうだった? 大変だったか?』って。
それでその仕事の話をすると、嬉しそうに『そうか、そうか』って一生懸命に聞いてくれるんです。そして『今回もお疲れさん、よく頑張ったな』って言って、私の成長を我がことのように喜んでくれるんです。
それが嬉しくてね。それでまたこういう報告をしたいと思って、次の仕事も頑張ってしまうんです。
その上司が定年退職したとき、今度は自分が部下の話を聞いてあげようと思いましてね。そしたら定年まで働いてました。あんな上司がいたら会社辞められないですよ」
この方の上司は部下の成長を我がことのように喜び、話を聞いておられたわけです。それはまさに自分のことを見守ってくれていると感じる関わりだったと思います。
そして、その上司に恩と絆を感じ、それが独立を思い止まらせたわけです。
「人の喜びは我が喜び、人の悲しみは我が悲しみ」
この2つのエピソードに共通するのが、上司が部下の成長を我がことのように喜んでいること、その姿を見て部下は「上司は自分のことを見守ってくれている」と感じていることです。
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