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石破政権では意外に低金利政策が続くとみるワケ 円安は抑制、利上げも0.75%程度で打ち止めに?

東洋経済オンライン / 2024年10月8日 9時30分

「石破政権=利上げ、円高、株安」なのだろうか。筆者はそうは考えていない(写真:ブルームバーグ)

石破茂氏が9月27日に自民党総裁選挙に勝利した後、円高が急速に進行し、同月末の日経平均株価は大幅下落となった。一部の海外投資家の間で「石破政権が日銀に利上げを迫る」といった思惑が生じた可能性がある。

その後、石破新首相は10月2日に日銀の植田和男総裁と会談後「個人的には現在、追加の利上げをするような環境にあるとは考えていない」と報道陣に語り、一気にドル高円安が進んだ。果たして石破政権下では本当に円高、株安となるのだろうか。石破新政権の誕生を踏まえ、今後の日本株を占っていきたい。

日銀の政策態度は為替が「先」で金融政策が「後」に

「日銀の利上げに伴う円高は、日本株の重荷になる」――。もしこうしたマーケット関係の記事があれば、読者のみなさんは、すんなりと受け入れてしまうのではないだろうか。

だが、実はこうした「波及経路」は、今は存在していない。というのも、日銀の政策態度は為替従属の色彩を強めているからだ。端的に言えば「円高なら利上げはしない。円安なら利上げに動く」という具合になる。事実、今年に入ってからの日銀の政策変更および情報発信は、為替との関係が強まっている。

7月上旬にドル円相場が1ドル=160円を突破し、利上げの選択肢しか持たなくなった日銀は、7月31日の金融政策決定会合で利上げを実施した。その後、世界同時株安と相まって140円程度まで円高が進行すると、8月7日に内田真一・日銀副総裁は「円安の修正は政策運営に影響する」「金融市場が不安定な下で政策金利の引き上げはしない」として、軌道修正した。この発言には為替が「先」、金融政策が「後」という従属関係が前提に置かれている。

また、日銀の声明文にも為替従属の姿勢が透けて見える。声明文の最終段落(リスクへの言及)は「リスク要因をみると(中略)わが国経済・物価を巡る不確実性は引き続き高い。(中略)とくに、このところ、企業の賃金・価格設定行動が積極化するもとで、過去と比べると、為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている面がある」と結ばれている。

説明順序は「為替→物価→金融政策」である。また植田和男日銀総裁は円安修正によって、政策を見極める時間的余裕が増していると発言している。これらはいずれも、円安が進まないなら利上げを待つと読み替えることができる。

石破政権下ではむしろ低金利政策が続く可能性

こうした前提を踏まえたうえで、石破政権の誕生が金融政策にどういった影響を与えるのか考えてみたい。結論を先取りすると、筆者は(高市早苗氏が首相になったときよりも)石破政権でむしろ低金利政策が長く続くと考えている。総裁選の決選投票に残った高市氏の政策理念は「拡張的財政政策が必要、金融緩和は積極的に」といった具合であり、総裁選直前の金融市場では同氏の勝利を見込み、円安・株高が進行した。

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