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DV被害の妻が息子の不登校で目覚めた新たな道 母親が精神的自立を果たして子どもが変わった

東洋経済オンライン / 2024年10月9日 11時50分

「ずっと私が家計を管理していたんですが、ある日、主人から『通帳とカードを返せ』と言われました。これからは自分が管理するからと。がんばって借金を返して、これからやっと蓄えられると思っていたので、悔しくて悲しくて……」

家を飛び出した美香子さん。行く場所もなく、時々遊びに行っては話を聞いてもらっていた知人のところに駆け込みました。

「どうにもならない思いを知人に伝えると『おつかれさま。あなたの役割が今日終わったね』って言ってくれたんです」

「『3人の子どもが大きくなるまでは、あなたがお金を管理する必要があったんだよ。でも、その役割が今日で終わった。よくがんばったね。元気な男の子3人が育ったね』って。それを聞いて、私、これまでとは違う涙が出てきて。ああ、これからは自分のことを考えていいんだって」

その頃、16歳になっていた三男さんは、美香子さんの体調不良のときには家事を手伝い、落ち込んでいると笑わせて元気づけようとしたり、自分もがんばらなきゃとドリルを買って勉強をしたり、学校には行けないものの美香子さんを心身ともに支える存在と成長されていました。

物事が動くときは目に見えない後押しがあるものです。美香子さんはある国家資格の情報に目が留まります。

「公認心理師の資格です。私はこれまで高齢者の相談員やケアマネジャーをしていて、人の話を聴いたり、相談にのったりしていました。その仕事をもっと深めて、今度は親子関係をサポートする側に回りたいと思ったんです」

自分のことを優先して考えるようになった美香子さん。家庭のことを大切に思いながらも、この資格の勉強に夢中になります。そんな様子を見た子どもたちは応援してくれるようになったそうです。

「でも、主人は私が勉強することを嫌がるんです。テレビを大音量にして見るので音を小さくしてほしいと言うと、『オレの家だ!』と言われます。なので、主人が寝た後にリビングで勉強していました。すると息子たちがお茶を入れてくれたり、テキストを見て問題を出してくれるようになったんです」

2年後。努力が実り、美香子さんはみごと国家試験に合格します。

「私、離婚したい」と宣言

美香子さんが分岐点を経た今、夫婦の関係はどう変わったのでしょうか。

「主人はすっかり意気消沈しています。『こんな状態が続くなら、私、いつでも離婚する』とはっきり言ったからです。今では攻撃してくることもありません。『おれは離婚するつもりはない』と言われましたが、私は自分の気持ちを伝えたので、今はそれで十分です。ウォーキングをしたり、ひとりで旅行に出かけたり、自分のやりたいことをするようになりました」

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