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セブン「賛否両論ドーナツ」に見るコンビニの転換 便利なだけでは戦えない時代に突入している

東洋経済オンライン / 2024年10月9日 10時0分

特にチョコは、単体でもそこそこしっかり味が生地に染み込んでいるし、チョコが実際に入っているから必要がない気もした(個人的にはチョコが一番好きだったけど)。カスタードも同様。カスタード自体がそこそこ甘いから、全然そのままでもいける。

もう一つ味として感じたのは、「少し油っぽいかも……」ということ。実はセブンのドーナツ、同じくセブンで販売されている「お店で揚げたカレーパン」の什器を活かして作られている。これが「揚げパン」のような食感を生み出す。前回のドーナツ販売ではなかった特徴でもあり、今回のドーナツ再販における最大の特徴でもある。

ただ、それゆえに、その日の油の状態や調理によって、油っぽさが全面に出てしまいかねない。この「油感」をどれぐらい均一に保てるかが、最大のポイントだろう。実際、ネット上を見ていても、「意外と美味しかった」という声がある一方で、「すごく油っぽい」という声や、「ドーナツよりは揚げパンに近い」といった感想が確認できる。

……と、ちょっと辛口になってしまったが、基本的にドーナツとして美味しいし、そもそもこの値段で食べられるのなら、コーヒーのついでに買うか……となると思う。「試しに買ってみよう」と思えるクオリティには達しているし、コンビニ内での買い周り需要は確かにあると思う。

セブンの「ドーナツ再販」の真意は?

しかし、どうしてセブンはドーナツ販売を再開したのだろうか。それには、商品の数を増やし、より多くの需要をコンビニに取り込む意図があると思われる。

そもそも、コンビニの数は現在、飽和状態である。日本フランチャイズチェーン協会が発表した2024年8月の国内コンビニ店舗数は5万5730店舗で、前年同月より0.1%(80店)減っている(前年同月は5万5810店舗)。微減ではあるのだが、前年を下回るのは、2022年6月から26カ月連続。ある程度、出店可能な地域にも出店を伸ばしていることもあり、数の面ではほぼ天井に達していると見てよい。

こうなってくると、その数が飽和しているコンビニの中で、各社は「店舗数増加」以外で売上高を高める方策が求められてくる。もっといえば、「便利な店」が魅力になっていた時代から「+α」の魅力を作る必要がある。

この点に関して、流通アナリストの中井彰人は、今後のコンビニの方向として、①商圏を細分化して出店余地を生み出す、②新たな需要を取り込む必要があると指摘する。特に②については、私が今書いたことと連動している。

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