「隣はヒズボラ」パレスチナ難民キャンプのヤバさ 9月にレバノン・ベイルート襲った空爆のその後
東洋経済オンライン / 2024年10月9日 9時0分
9月27日、レバノンの首都ベイルート南方の郊外に位置する地区ダヒエ(Dahieh)が、イスラエル国防軍(IDF)による空爆に見舞われた。
【写真で見る】ブルジ・バラジネ難民キャンプ付近に着弾した兵器の残骸
2006年にも大規模な攻撃を受けるなど、レバノンに拠点を置くシーア派組織ヒズボラを対象とした散発的な攻撃による被害はたびたび報告されてきたが、首都圏でこれほどまで精密で大々的な空爆が行われたのは、数年ぶりのことだ。
国民の44%が貧困状態
レバノンは近年、長期化する難民危機に加え、通貨レバノン・ポンドの崩壊や経済破綻により国家崩壊の危機に瀕している。直近10年間で貧困率は3倍まで増加し、国民の44%が貧困状態に陥っている(世界銀行、2024年)。
世界100カ国以上の現地在住日本人ライターたちの集まり「海外書き人クラブ」の会員で、同国での駐在経験のある筆者がベイルートでパレスチナ難民が置かれている状況を報告する。
【写真9枚】パレスチナ難民の街並みや、イスラエルからの空爆による悲惨な実態
レバノン保健省の発表によると、9月27日の空爆による死傷者は90人以上(暫定)であり、ヒズボラの拠点がターゲットとされたものの、犠牲者には一般市民も含まれるという。
ラフィク・ハリリ国際空港からほど近いベイルート南部はイスラム教シーア派の住民が多いのが特徴であり、半世紀以上も前に形成されたパレスチナ難民キャンプ「ブルジ・バラジネ(Burj Barajneh)」が位置するのもこの一帯である。
スンニ派だがヒズボラを支持
このキャンプで暮らす大多数のパレスチナ人はスンニ派に属するものの、祖国を侵略したイスラエルに対して強硬姿勢を貫いてきたヒズボラに対しては一定の支持を示す傾向にある。
なかには「唯一イスラエルに立ち向かう者」として、同組織の最高指導者ハサン・ナスララ師を声高に称賛する人もいる。
ブルジ・バラジネ難民キャンプは、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)が保健や教育、社会保護などの基本的なサービスをパレスチナ難民やシリア難民に提供する同国内12のキャンプの1つであり、ヒズボラの本部とされてきたダヒエとは目と鼻の先に位置している。
路地を一本間違えると、ヒズボラの拠点であることを示す黄色い旗がひしめく通りに出てしまうため、かつて同キャンプに足を運んでいた筆者も何度か冷や冷やした経験がある。
ヒズボラはレバノン政府正規軍と異なる軍事部門を有しており、拠点とする地域には銃を携えた兵士を配置している。その支配地域に立ち入ることで、不要なトラブルに巻き込まれる恐れがあるのだ。
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