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パーパス経営から「エシックス経営」に進化せよ 「多」律背反を解くための商売の基本倫理とは

東洋経済オンライン / 2024年10月10日 7時40分

デジタル化が進めば進むほど、デジタルな発想を超える視点が求められる。それはアナログの世界に戻ることではない(写真:bee/PIXTA)

数年前から企業経営の分野で「パーパス」が注目されている。ミッション、ビジョン、バリューの上位概念として、「自分は何のために存在するのか」、そして「他者にとって価値のあることをしたい」という信念を意味している。組織や企業の存在意義を問い直す言葉だ。

立派なパーパスを掲げる企業は増えたものの、その実践に行き詰まっているところが出てきている。それは「パーパス」というきれいごとを実践するには、倫理(エシックス)を日々の「行動原理(プリンシプル)」にまで落とし込むことが求められていないためである。

それでは、倫理とは何か、そして、どのように企業経営に取り込んでいくべきか。「パーパス経営」ブームの火付け役でもあり、日本を代表する企業のアドバイザーを長く務めてきた名和高司氏が、このたび『エシックス経営』を上梓した。

今回は、エシックス経営の考え方を日本企業の事例とともに紹介する。

エシックス経営の聖地

前回は、エシックス経営とは何か、なぜそれが今、問われているかについて論じた。そして、世界企業における実践例として、ジョンソン・エンド・ジョンソンとマッキンゼーのケースを紹介した。

パーパス経営を進化させた「エシックス経営」のプリンシプル

ここからは、日本に目を転じてみたい。日本企業の中にも、エシックス経営を実践している企業は数多い。そもそも「三方良し」「自利利他」「論語とそろばん」などを重んじてきた日本は、エシックス経営の聖地だったといえるだろう。

しかし、バブル崩壊以降、アングロサクソン流の株主資本経営を「世界標準」と勘違いして、せっせと移植してしまった。その結果が「平成の失敗」をもたらしたのである。

令和に入って早5年、「ガバナンス」を世界標準として崇めているようでは、「失われた○○年」の呪縛から抜け出すことは不可能だ。前回に論じたとおり、ルールに基づく他律的な統治ではなく、プリンシプルを基軸とした自律的な「自治(セルフガバナンス)」が、次世代経営のあるべき姿だからだ。

世界的に「倫理資本主義」が注目され始めた今こそ、日本本来の経営思想に立ち返り、未来に向けてバージョンアップしていかなければならない。そして、それを「シン日本流経営」として世界に発信することができれば、日本企業が時代のトップランナーに躍り出ることも夢ではないはずだ。

近著『エシックス経営』では、日本の多様な業種業態から、先進事例を紹介している。京セラ、トヨタ自動車、武田薬品工業、花王、ユニ・チャーム、三井住友トラスト、日立製作所、リクルート、クラダシ、谷口工務店の10社だ。

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