ダヴ「ルッキズムに異議」が皆の怒りを招いた根因 「啓発キャンペーン」がなぜ批判されてしまったのか
東洋経済オンライン / 2024年10月10日 16時20分
この動画には賛否両論あったが、批判的な声のほうが優勢だった。ちょうどこの時、ブラック・ライブズ・マター運動が盛り上がっていたが、ナイキの本拠地がアメリカであっただけに「(人種差別を行っている)お前らに言われたくない」といった声も目立っていた。
筆者の評価としては、動画のメッセージには共感はするが、広告・宣伝として効果的であったかは疑問が残るといったところだ。
なお、ナイキジャパンはこの動画を公開したことについて謝罪はしておらず、取り下げもしていない。
今回のダヴの広告に対しても筆者としては同様の評価である。ただし、ナイキと同様、広告を取り下げる必要も、謝罪をする必要もないと考えている。この広告は10月13日までの期間限定のものであるし、伝えようとしているメッセージ自体は不適切なものとは言いがたいからだ。
ダヴの広告は世界で称賛されてきたが…
ダヴ社は、2004年から「リアルビューティー・キャンペーン」を世界で展開してきた。このキャンペーンでは、人工的な美しさではなく、自然であること、自分らしくあることが「真の美しさ」であることを訴え続けてきた。
外見の美しい女優やモデルではなく、一般人や化粧をしない素顔の人たちを広告に登場させるなど、有言実行の取り組みを続けており、全世界で支持を集め、世界の広告賞も多数受賞している。
今回物議をかもした広告も、上記の流れの中で位置づけてみると、自然な展開であるようには見える。文脈を知っている広告業界の人が見ると、この広告に問題があるとは思わないのではないかと思う。
ただし、日本の一般の消費者の人からしてみると、やはり違和感を抱いてしまうものだったのではないかと思う。
ダヴ社は、自社のXアカウントから「#カワイイに正解なんてない」を付けてリポストすることを呼びかけたが、これも批判意見を増幅させる結果となってしまったように思える。
日本で成功した啓発広告は?
日本でも、啓発型の広告で称賛を集めた事例がある。ダヴと同様に、渋谷界隈の屋外・交通広告を利用した事例を見てみたい。
総合刃物メーカーの貝印が2020年にSHIBUYA109のビッグボードと東京メトロ半蔵門線の電車内などに掲出した、剃毛・脱毛に関する啓発広告だ。
本広告は、「#剃るに自由を」をテーマにしたコミュニケーションの一環として展開されたもので、腋毛を見せたヴァーチャルモデルのビジュアルに「ムダかどうかは、自分で決める。」というキャッチコピーが添えられている。
この記事に関連するニュース
-
「今すぐ広告を中止して」批判殺到 “ルッキズムに警鐘を鳴らす”駅広告が「逆効果」と物議 運営は取材に「回答しかねる」
ねとらぼ / 2024年10月9日 19時27分
-
ダヴ、渋谷駅構内の広告に抗議殺到「ルッキズムの助長にしかなってない」「即時取り下げて」
オールアバウト / 2024年10月9日 12時45分
-
「目の下から唇まで6.5㎝が小顔の基準」…『Dove(ダヴ)』の広告が物議。美の“基準”を否定したはずが逆効果に……?
集英社オンライン / 2024年10月8日 21時26分
-
和田アキ子「体も態度もデカい」外見差別の経験を生かせず…「アッコにおまかせ!」“トド発言”で終了へ
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年9月25日 9時26分
-
マクドナルド「髪色自由化」が導く"本当の狙い" 「人材確保」だけではない、大きな意義があった
東洋経済オンライン / 2024年9月12日 10時0分
ランキング
-
1ダヴ「ルッキズムに異議」が皆の怒りを招いた根因 「啓発キャンペーン」がなぜ批判されてしまったのか
東洋経済オンライン / 2024年10月10日 16時20分
-
2サイゼリヤの進化か、改悪か? メニュー削減と2000店舗拡大の裏にある戦略
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月9日 5時15分
-
3「セブン&アイ・ホールディングス」 「セブン-イレブン・コーポレーション」に社名変更へ
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年10月10日 15時32分
-
4なぜか日本人の98%がやっていない…熟練金融記者が教える「毎月23万円」の年金を「42万円」に倍増させる方法
プレジデントオンライン / 2024年10月10日 7時15分
-
5「紅麹サプリ」で大阪市が「食中毒」と判断決定 回収した製品は「一部をのぞいて、年内に廃棄命令出したい」
MBSニュース / 2024年10月10日 17時50分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください