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最盛期から半減「やきとり大吉」"反転攻勢"の秘策 課題は店主の高齢化、「白い大吉」で若返りを図る

東洋経済オンライン / 2024年10月11日 8時25分

生業主義とスケールメリットの融合へ向けて

2024年9月の取材時で、同グループになってから1年8カ月が経過した鳥貴族と大吉。まずは協力の一歩目ということで、焼鳥の串を共通化し、コストダウンする取り組みが始まっているそうだ。また、鳥貴族には店舗開発部があり、大吉にはないため、商圏調査や物件情報の入手ノウハウをもらうこともあるという。

けれど、それ以外については、どのようにスケールメリットを生み出し、アイデアの交換をしていくのか、まだ模索中とのこと。2ブランドは同じ焼鳥中心の業態だが、さまざまな点で違いもあるからだ。たとえば、鳥貴族の顧客は20~40代中心で、大吉は30代後半~60、70代中心。鳥貴族は、駅からの徒歩圏内や繁華街に店が多く、地下や空中階の店が多い。大吉は、住宅街の1階路面店だ。

さらに、鳥貴族は全651軒のうち400軒超が直営で、残り200軒超がFC店だ。FCに加盟するのは個人ではなくFC運営企業で、複数店舗を経営している。これに対し、大吉は全店個人FC店だ。広さも、鳥貴族は大吉の倍以上あり、そのためFCの初期投資額は重くなる。

店舗スタイルも運営形式も企業文化も違うのだから、一朝一夕に協業するのは難題だろう。しかし、そんな状況を打破するべく2024年7月、まずは東京と大阪のオフィスが合併された。鳥貴族も大吉もトリキバーガーも、グループ社員がワンフロアに顔を揃え、フリーアドレスで働く環境となったそうだ。

「毎日顔を合わせることで、シナジーが起きるのではというワクワク感があります。共同の販促キャンペーンをはじめ、さまざまなプロジェクトを始めようという話も進めています」と近藤社長。しかし一方で、商材やマーケティングについては議論を重ねていく必要がある、と慎重だ。

創業からの信念「仕入業者は大吉の宝だ」

近藤社長が慎重になる理由の1つに、あるポスターの存在がある。1978年3月、1号店のときから唯一、店内の壁に貼り続けているポスターだ。そこには、「仕入業者は大吉の宝だ。お客様と同じように感謝の気持で接しましょう」と書かれている。

これは創業から大吉が掲げるスローガンで、実際に店主にとっては、酒販店も鶏屋さんも宝のような存在だそうだ。特にリース契約で地元から遠い店舗の店主になった人にとっては、子供が熱を出したときに病院を教えてもらうなど、家族のように面倒を見てもらう間柄になることも少なくないという。人間対人間のつながりと信頼があるのだ。

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