家政婦訴訟で浮き彫り「労基法なき職場」の過酷 総裁選でも議論浮上「働き方改革」否定の禍根
東洋経済オンライン / 2024年10月11日 7時15分
当時の安倍政権が労働時間規制の強化へと舵を切ったのは、「長時間労働の改善が一向に進まず、子育てや介護など家庭生活と仕事との両立が困難になっている」「うつ病などによる労災の請求件数が増加するなどメンタルヘルスの問題は深刻化している」といった時代背景があった。そしてターニングポイントとなったのは、当時大きく社会問題化された過労自殺した広告最大手・電通の新入社員の労災認定だ。
その後、コロナ禍を経てリモートワークが定着するなど、業種によっては働き方の多様化が進んできたのは確かだが、ようやく緒に就いたばかりの労働時間の規制強化の方向性を180度転換するような小泉、河野両氏の唐突にも思える発言の背景には何があったのか。
彼らの主張と近いのが、新経済連盟(代表理事=三木谷浩史楽天グループ社長)が今年6月に発表した、「労働基準法等の見直しに関する提言」だ。「労働者は弱く、守られるべきもの」という旧来の発想から脱却し、意欲ある労働者が「時間」に縛られず働くことを可能にするとの趣旨で、ホワイトカラーの新たな労働時間制度(仮称:ホワイトカラー・オプション)を創設するという。
具体的には、広くホワイトカラーを対象に裁量労働制を拡大し、さらに使用者の時間管理義務こそ残すが、労働者の裁量・自己責任で労働時間を管理する制度への見直しを行うというものだ。「たくさん働きたい人にとって労働時間規制は障害になる」という会員企業などからの意見を踏まえ、「労働者個人の意思」による選択が可能な労働時間制度への変革が求められるとしている。
三木谷氏も自身のX(旧Twitter)で、
「自民党の総裁選が始まる。ぜひ働き方についても議論して欲しいと思う。国家が『一元的に』単純な時間制限を押し付けるのは、仕事を通じて挑戦したり、より働いて自分の力をあげたり、収入を増やしたいという人の自由を奪う愚策だと思う」
「多くの方が、『一元的』な働き方制限(所謂、働き方改革)に違和感、反対している。政府には、現実に目を向け働き方に柔軟かつ自由な働き方ができるよう早急に見直しをお願いしたい」
などと発言、小泉氏支持を表明している。
定期的に繰り返される緩和提言
現在の労働時間制度は工場労働者を想定した仕組みであり、ホワイトカラーには適さない、それに代わる新たな制度が必要だ――。実はこうした提言はこれまでも定期的に繰り返されてきた。2006~2007年当時議論された「ホワイトカラー・エグゼンプション」や2014年に経済産業省が画策した「スマートワーク」などだ。
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