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遅すぎた「じゃらん休刊」で露呈した"残酷な真実" "一強"だった同誌がそれでも休刊となったワケ

東洋経済オンライン / 2024年10月11日 16時15分

現在発行されている『じゃらん』本誌は、全国5冊(画像:「じゃらんnet」より)

10月8日、旅行情報誌『じゃらん』と『じゃらんムックシリーズ』(リクルート)が来年3月で休刊し、35年の歴史に幕を閉じることを各メディアが報じました。

【画像】『じゃらん』とともに一時代を築いた「“ライバル誌”の現在」

リクルートはリリースの中で、「今後、旅行に関する情報発信および予約については、ウェブサイト・アプリの『じゃらんnet』に集約し、読者のライフスタイルに寄り添ったサービスのさらなる強化をしてまいります」とコメント。

つまり、「旅行情報誌そのものが人々のライフスタイルに合わなくなった」ということでしょう。

出版業界では2010年代から雑誌の休刊が相次いで報じられていましたが、『じゃらん』に関しては、他誌とは異なる理由も含めて「遅すぎた」という感が否めないのです。

筆者は2000年代後半まで『じゃらん』やライバル誌の『るるぶ』(JTBパブリッシング)などで仕事をしていました。国内旅行業務取扱管理者の資格を取り、日本全国の観光地や宿泊施設をめぐった経験を踏まえて、今回の休刊にかかわる本質を掘り下げていきます。

国内の個人旅行を加速させた立役者

『じゃらん』の創刊は1990年1月。当時は携帯電話を持っている人がかなり少なく、Windows 95の登場前でパソコンも普及していません。

旅行の情報を得るのも、予約をするのも、「旅行会社か旅行関連本か」の2択。旅行会社に行ってパンフレットを集めて「どの行き先でどの宿にするか」を考え、カウンターで相談しながら決めていました。

また、旅行情報の入手に関しては、1970年代から発売されていた『るるぶ』シリーズなどのムック本で行う人も多く、誌面で紹介された宿泊施設に直接電話をかけて予約する人がジワジワと増えていました。

そんな時代に『じゃらん』が創刊されたことの効果は大きく、多くの宿泊施設をまとめた雑誌の登場で、人々の旅行熱が加速。部屋、風呂、食事、プランなどを比較検討しやすくなり、学生から高齢者までが利用する旅行情報誌として人気を集めました。

それまで旅行と言えば団体が主流でしたが、『じゃらん』は現在につながる個人旅行の流れを作った立役者と言っていいでしょう。

ちなみに、旅行情報誌の先駆者であるJTBは1998年、『じゃらん』に対抗した『るるぶじゃぱん』を創刊。宿泊施設の情報が中心の『じゃらん』に近い誌面構成に、全国各地の「るるぶ情報版」で得た観光情報を織り交ぜる形で勝負したものの、2006年で休刊しています。

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