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「手術中汗を拭いてもらう」外科医が実はいない訳 ドラマと現実ではこんなにも異なっている!

東洋経済オンライン / 2024年10月12日 19時0分

人気を集める医療ドラマだが、現実の手術室ではいったい何が行われているのか。ドラマとリアルはどう違うのか(写真:mits/PIXTA)

今年、人気を博した医療ドラマ『ブラックペアン シーズン2』。また、12月には『劇場版ドクターX』の公開が控えている。人気を集める医療ドラマだが、現実の手術室ではいったい何が行われているのか。ドラマとリアルはどう違うのか。『本物の医学への招待 驚くほど面白い手術室の世界』を出版した、世界最高峰のシカゴ大学・心臓外科医の北原大翔氏が「本物の手術」を語る。

医療ドラマで描かれる医療現場は本当なのか?

医療を題材にしたドラマは色々あり、どれも人気が高い。最近のものだと、今年セカンドシーズンが放送された人気作『ブラックペアン シーズン2』。タイトルに入っている「ペアン」とは医療道具のことで、何かを摑むときに使うものだ。真ん中に歯止めがついていて、物を掴んだらその状態を維持できるようになっている。実際のペアンの色は銀色で、黒いペアンはあまり見たことがないけれど。

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そして、12月公開予定の『劇場版ドクターX』。フリーランスの外科医が主人公だが、実際、日本でフリーランスをしている外科医は少なく、特に心臓外科医では見たことがない。心臓外科の手術の場合、特にチームワークというものが大事になってくる。そうなると、心臓外科医だけが単独で移動して色々なところで手術をするのは、あまり得策ではないからかもしれない。チーム全員で移動するならわかるが、それならひとつの病院にとどまって、患者に来てもらったほうが効率がいい。

そのほか、ドラマと現実の医療現場の共通点、逆にどんなところが違うのか、よくあるシーンごとに紹介しよう。

「手術中に汗を…」「上の小部屋から…」

ドラマでよくあるシーン1:手術中、看護師に汗を拭いてもらう

ドラマではよくあるシーンだが、私は手術中に汗を拭いてもらったことは一度もない。というより、そもそも汗をかかない。手術室は適温に保たれており、汗をかくほど暑くはないからである。

心臓手術をする部屋は、ほかの手術の部屋と比べて低めの温度に設定されている。心臓手術は心臓を止めて行うのだが、その間は心臓に血液が流れないので、止まっている時間が長くなれば長くなるだけ心臓にはどんどんダメージが加わっていく。

このとき、体の温度を低くすると、心臓の代謝を抑えることができるため、血液が流れていない間に心臓にかかるダメージを少なくすることができるのだ。

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