芸術の秋、「和×モダン」の奥深さ堪能する名建築 語りたくなる意匠や背景、あの建築祭にも注目
東洋経済オンライン / 2024年10月12日 9時0分
昨今、アートや映画と同じように、建築を鑑賞の対象として楽しむ人が増えている。とくに今年5月に東京で初めて開催された「東京建築祭」の盛況ぶりを目の当たりにし、そのことを実感した。
【画像】動物像を探すのも楽しい!見どころ満載の築地本願寺は東京建築祭でも大人気だった
東京建築祭は、無料特別公開とガイドツアーから構成される建築公開イベントだ。第1回となった今年は、日本橋、銀座、築地などのエリアを中心に、54に上る建築が参加したが、会期中に延べ約6万5000人もの方々が訪れたのである。しかも、来訪者の8割以上が建築関係の仕事ではない方が占め、およそ4分の3が女性だった。
筆者は実行委員長として、「街を再発見し、建築が身近になるイベントを」との思いで取り組んできた。実際に建築鑑賞の裾野が広がっていることを嬉しく思う。
建築のよさは、普段から外観を見ることができたり、内部にも入れたりするところにある。しかし、興味はあるものの、名建築や鑑賞のポイントがよくわからないという方も多いだろう。そこで今回、秋に訪れたい「和×モダン」の建築を、東京と京都からえりすぐった。
デザインの折衷や動物像探しが楽しい「築地本願寺」
まずは、東京建築祭でも大人気だった、東京・築地にある「築地本願寺」(1934年竣工)を紹介したい。ここは東京随一の開かれたお寺であり、珍しい形をした建築。普段から目にできる部分も、見どころ十分だ。
【写真】東京は築地本願寺や東京国立博物館(本館・東洋館・法隆寺宝物館)、京都は最先端施設のSHIKIAMI CONCON、大雲院 祇園閣(旧大倉喜八郎別邸)、先斗町歌舞練場、東本願寺視聴覚ホールなど、「和×モダン」の魅力が楽しめる建築は身近にたくさんある
「インド様式」の寺院とよく言われる。確かに真ん中にあるアーチ型の屋根は、岩山に横穴を掘って仏教寺院とした古代インドの石窟入口の形からとったもので、左右に付いているのもインド風の塔である。
よく見ると、中央が一番目立ち、左右対称で両脇にアクセントがある。そんな全体の形は、迎賓館赤坂離宮や国会議事堂といった洋風の建築に似ていないだろうか。
実は、築地本願寺の骨格にあるのは、幕末に日本が開国してから、頑張って学ぼうとしてきた西洋建築にほかならない。本堂内に履物を脱がずに入れて、いすに腰掛け、時には雅楽やパイプオルガンの音色に包まれた仏前結婚式に立ち会うこともできる。仏教をもっと身近にとの思いから、開かれた西洋建築のあり方を採用した近代的な寺院なのだ。
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