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国際映画祭に見た、映画祭が「脱映画」を図る未来 釜山国際映画祭では、動画配信作品が勢い増す

東洋経済オンライン / 2024年10月12日 13時0分

『第29回釜山国際映画祭』の屋外メインステージで行われたセレモニー(画像提供:BIFF2024)

アジア最大級の映画祭『第29回釜山国際映画祭』が、韓国・釜山で10月2〜11日の10日間開催された。

【写真で見る】釜山国際映画祭の様子。松重豊や、有村架純、坂口健太郎らの姿も

世界63カ国から224本の招待作品(うちワールドプレミア66本、インターナショナルプレミア13本)が、7劇場28スクリーンにて上映された。日本映画は、国際合作や短編を含む20作品が出品され、現地を訪れた監督や俳優たちは、例年通り映画熱の高い若い世代の観客の声援を集めた。

今年も盛況だった同映画祭には、興味深い動きも見られた。それは、OTT(ネットを介した動画配信)の作品が例年以上にフィーチャーされたこと。観客も当たり前のように映画と変わらず受け入れ、盛り上がっていた。

アジア最大級の映画祭は、エンターテインメントの未来のために、必ずしも劇場映画だけをメインにはしない、“脱映画”の方向性を定めようとしている。

華やかだった頃の映画祭が戻ってきた

韓国の興行市場は、コロナ禍から昨年まで深刻な不況が続いていたが、今年は1000万人動員を超えるヒットが続くなど、復調の兆しを見せている。

そんな映画業界の勢いを反映するかのように、今年の同映画祭は昨年より上映作品が20本ほど増えたほか、劇場数、スクリーン数ともに増加。かつての華やかだった頃の映画祭への回帰の流れが感じられた。

今年の映画祭は、開催前に運営トップの辞任が相次いだ昨年とは打って変わり、今年2月に新理事長に就任したパク・グァンス氏の下でスタート。運営陣の刷新による映画祭予算の縮小も報道されたが、体感としてはここ数年とほぼ変わらない。マーケットでは新たなプログラムがスタートし、積極的な映像ビジネスの拡大に向けた姿勢が見受けられた。

また、今年はシャネルがメインスポンサーに加わり、賞の新設(カメリア賞:アジアにおける映画界での女性の芸術的貢献を表彰)や、作品上映前に同ブランドのショートストーリー(ペネロペ・クルスとブラッド・ピット出演)を上映するなど、映画祭を華々しく飾った。

黒沢清監督や、松重豊に注目が集まる

映画祭に参加した日本の俳優陣や監督たちにも、多くの関心が寄せられた。

アジアのメディアから注目を集めたのが、黒沢清監督だ。黒沢監督は、アジアン・フィルム・メーカー・オブ・ザ・イヤーを受賞。アジア映画産業と文化の発展にもっとも貢献したフィルムメーカーを表彰する賞であり、過去の日本人受賞者には坂本龍一、是枝裕和監督、鈴木清順監督、若松孝二監督などが名を連ねる。現地記者会見には多くのメディアが詰めかけた。

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